ANALYSIS

2カ月過ぎても制圧されないウクライナの小都市、ロシア軍が手こずる現状を分析

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リシチャンスクから見たセベロドネツク/Diego Herrera Carcedo/Anadolu Agency/Getty Images

リシチャンスクから見たセベロドネツク/Diego Herrera Carcedo/Anadolu Agency/Getty Images

だがアゾフスターリ製鉄所と同様、アゾト化学工場やその近辺はウクライナの抵抗の要衝となっており、ロシア司令官をいら立たせている。

ワシントンに拠点を置くシンクタンクの戦争研究所(ISW)によれば、「今後ロシア軍の損失はますます増加し、部隊や装備の質の低下に見舞われる公算が大きい。それにより、セベロドネツクでの戦闘が長引く中、他の要衝で攻撃を再開する試みは困難になるだろう」

マリウポリ守備隊に対して10以上の大隊戦術群が投入されたように、セベロドネツクの抵抗の突破にはかなりの労力を要することが証明されつつある。

抵抗の制圧

ウクライナは、この地域のロシア軍にかなりの損失を与えたと主張している――米国とフランスが供与した対戦車兵器や長距離榴弾(りゅうだん)砲など、西側同盟国からの最新装備の功績ともいえる。ウクライナ軍は18日、ロシア第11独立自動車化狙撃連隊が甚大な損失を負い、「兵力回復のために戦闘作戦エリアから撤退した」と主張した。

しかし、ウクライナの供給ラインは絶えず攻撃にさらされ、高速道路に沿ってドネツク州の西からリシチャンスクに物資を届けるのはますます困難になっている。

それでもISWは、「ロシア軍が今後数週間のうちにセベロドネツクを制圧できる可能性が高いが、これほど狭いエリアに手持ちの兵力の大半を集約しなければならないだろう」と推測している。

ここまでのロシア軍の戦術から、セベロドネツクの南側――シロタインなど――で抵抗勢力を制圧した後、複数方面からウクライナ守備隊を攻撃する計画が伺える。

ウクライナ政府関係者の話では、ロシアは次第にウクライナ陣地の特定にドローンを活用しているという。「ロシア軍は昼夜を問わず空から監視し、兵力を調整して、防衛エリアで動きがあれば直ちに対処する」と、ルハンスク州軍政局トップのセルヒ・ハイダイ氏は語った。

1000キロメートル以上にもわたる前線沿いの他の地域では、現時点で割譲または占拠されているところはほとんどない。

ロシアにとってドンバス地方での一番の目標は、ドネツク地方の工業都市で交通中継地のスロビャンスクとバフムートの町を占拠することだ――だが、いずれの都市でもロシアの進軍は極めて限定的だ。おそらくイジューム南部や西部でも、ウクライナの反撃に遭うだろう。

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