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プーチン大統領が思い描く結末は「帝国の復興」

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プーチン氏、自身をピョートル大帝になぞらえる

(CNN) ウラジーミル・プーチン大統領の胸の内を読むのは一筋縄ではいかない。だが時に、ロシアの指導者はわかりやすくしてくれる。

9日、プーチン氏がロシアの若い起業家らと会談した時がそうだった。ウクライナに対してプーチン氏が思い描く結末のヒントを探しているなら、会談の書き起こし原稿を読めばいい。ご丁寧にも英語で公表されている。

プーチン氏の言葉がすべてを物語っている。プーチン氏がウクライナで目指していること、それはロシア帝国の復興だ。

挑発的な文章の中でもすぐに大勢の目を引いたのが、自らをピョートル大帝になぞらえた1文だった。ピョートル大帝は17世紀後半に即位し、ロシアの近代化やサンクトペテルベルクの建設を行ったツァーリ(皇帝)だ。サンクトペテルブルクはプーチン氏の生まれ故郷でもある。

リラックスして満足気なプーチン氏は「ピョートル大帝は21年間にわたって大北方戦争を展開した。表向きは、ロシアから領土を奪ったスウェーデンとの戦争だった……彼は奪ったのではない、取り返したのだ。そういうことだったのだ」と述べた。

欧州諸国はピョートル大帝が力ずくで占領した土地を承認しなかったが、それは重要ではないとプーチン氏は続けた。

「大帝が新都を築いた時、この領土をロシアの一部として承認する欧州諸国はひとつもなかった。誰もがスウェーデンの領土だとみなした」とプーチン氏。「だが、この地でははるか昔からスラブ系民族とフィン・ウゴル語派の人々が共存しており、ロシアの支配下にあった。その西にあるナルバや、ピョートル大帝が最初に行った戦いも同じだ。なぜ大帝はその地に向かったのか。領土の奪還と強化、それが大帝のしたことだ」

プーチン氏は自らが仕掛けたウクライナ侵攻に直接言及してこう付け加えた。「明らかに、我々には奪還と強化の責任がある」

こうした発言はすぐにウクライナ側から厳しく批判された。ウクライナ側はこの発言を、プーチン氏の帝国主義的な野望をはっきり物語っているととらえた。

ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府長官顧問はツイッターへの投稿で、「プーチン氏が領土占領を認め、自らをピョートル大帝に例えたことからも明らかだ。『対立』はなく、ジェノサイド(集団殺害)というでっちあげた口実によるロシアの血なまぐさい侵略行為でしかない。(ロシアの)『面目を保つ』などと言っている場合ではない。即時非帝国化を話し合うべきだ」と述べた。

ここには歴史と現況、両方で多くの意味が込められている。ポドリャク氏が暗にほのめかしたのは、プーチン氏の面目を保ちながらウクライナでの戦闘の鎮静化または停戦を図るという各国政府の提案だ。こうした動きを先導しているのがフランスのエマニュエル・マクロン大統領で、先ごろも、外交的解決を模索する上で「ロシアを辱めてはならない」と発言した。

こうした主張は2月24日以前であれば理にかなっていたかもしれない。プーチン氏は侵攻に先立って、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大からウクライナに対する西側諸国の軍事支援にいたるまで、一連の怒りをぶちまけて戦争の正当性を主張した。

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