ロシア、ウクライナと停戦交渉 キエフ周辺の軍事活動縮小を発表

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破壊されたロシア軍の戦車の近くに立つウクライナ軍兵士=28日、ウクライナ首都キエフ近郊/Gleb Garanich/Reuters

破壊されたロシア軍の戦車の近くに立つウクライナ軍兵士=28日、ウクライナ首都キエフ近郊/Gleb Garanich/Reuters

(CNN) ロシアとウクライナの代表団が29日、トルコ・イスタンブールで協議を行い、ウクライナ東部ドンバス地方やクリミア半島の将来、安全保障の担保、首脳会談など多くの重要事項について議論した。会談は戦争の出口に向けた進捗(しんちょく)の兆しを見せるものとなった。

ロシアのフォミン国防次官は記者団に、「ウクライナの中立と非核の地位」に関する継続中の議論がこうした決定に貢献したと述べた。国営タス通信によれば、同氏は戦争行為を縮減する手順について代表団の帰国後に詳細を詰めると語った。

ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は協議後、両国の首脳会談に向けた十分な進展があったと発表。会談の「可能性」があるとし、2国間ベースでの会談開催に向けた文書を準備しているとした。

ロシア国営RIAノーボスチ通信もロシア側代表団の話として、首脳会談の可能性があると伝えた。代表団トップのメジンスキー大統領補佐官は、交渉が「建設的」だったと述べた。

ポドリャク氏は2国間の協議はオンラインで常時続けられると述べ、ウクライナ側は「明確な法的文言」を必要としているとも語った。

同氏はさらに、ロシアが2014年に併合したクリミア半島の地位に関する協議に言及し、「15年間の休止期間を起き、こうした領域(クリミアとセバストポリ)の地位に関する2国間協議を行うことを2国間の形式で合意した」と述べた。

ウクライナと西側諸国はロシアのクリミア半島併合を承認していない。休止期間の設定により、この問題が今回の協議から外される可能性がある。

ポドリャク氏は、この15年間に戦闘行為を発生させない点についても別途議論したと述べた。

安全保障についても協議した。ウクライナ代表団の別の1人は、ウクライナ側が「これは国際条約にすべきで、安全を保証する全ての国が署名し、批准される形を主張した」と述べた。集団安全保障の原則を定める北大西洋条約第5条に近いものになるかもしれないとも話した。

人道的な停戦についても議論され、ポドリャク氏は「多くの場所で人道回廊が必要だ」との認識を示した。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ロシアによる侵攻開始以降、390万人以上の人々がウクライナを離れた。この数週間激しい攻撃が続くチェルニヒウの映像からは、民間人の地区の大きな被害が出ている様子がわかる。

同氏の市長は26日、市がロシア軍に包囲され、他の地域と出入りする安全な経路がないと発表。29日にはCNNに対して、この3週間で300~400人が死亡し、大半が民間人だと述べた。さらに「病院で亡くなった人しか集計できていないため正確な人数はわからない」とも語った。

ロシアは協議開始後に、ウクライナの首都キエフやチェルニヒウに対する軍事攻撃を「大幅に削減する」と発表した。ウクライナや西側の情報機関の分析ではこの数日、キエフに向けたロシア軍の進行が停滞していることが示されている。

それでも、キエフ北西部や北東部の郊外では29日午後も激しい戦闘が続いた。

ウクライナ側も一部のロシア軍がキエフやチェルニヒウから撤退していると発表。ウクライナ軍参謀本部はフェイスブックで、ロシアが「攻撃作戦の目標を達成しなかった」と述べ、一部の部隊が戦線から撤退を始めたと伝えた。

ただし、ロシア軍が軍や民間のインフラを攻撃する「高いリスク」があるとも警告。ロシア軍は新たな兵士の補強や交代に苦労し、「いわゆる特別作戦への参加を兵士が拒絶」していることが原因で1大隊戦術群の人員配置さえできていないと述べた。

ウクライナ国防情報局トップのキリロ・ブダノフ准将は、ロシア軍がキエフ周辺での作戦に失敗し、ウクライナ政府の転覆を図ることは不可能になったと発言。ロシア軍はウクライナ南部と東部に集中していると述べた。

さらにプーチン氏が「ウクライナの『朝鮮』シナリオを検討していると考えられる理由がある」と述べ、「(ロシア軍が)我が国の非支配地域と支配地域の間に線を引こうとしている。ウクライナに北朝鮮と韓国を作り出す試みだ」と語った。

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