「食料も水も電気も医療もない」、子ども病院攻撃のマリウポリで深まる窮状 ウクライナ

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負傷した妊婦の女性を運ぶウクライナの救急隊員とボランティア=9日、ウクライナ・マリウポリ/Evgeniy Maloletka/AP

負傷した妊婦の女性を運ぶウクライナの救急隊員とボランティア=9日、ウクライナ・マリウポリ/Evgeniy Maloletka/AP

ウクライナ・キエフ(CNN) 負傷した妊婦が担架に乗せられ、くすぶり続ける産科・小児科病院のがれきの中を運ばれていく。顔は血の気を失っていたが、片手は子どもを守るようにお腹に当てていた。建物はこの側の窓が全部吹き飛ばされているように見える。至る所にがれきが散乱していた。

ウクライナ南東部マリウポリ市当局によれば、この写真は9日にロシアが空爆した市内の産科・小児科病院の現場で撮影された。市は10日、この空爆によって子どもや女性、医師など17人が負傷し、子どもを含む3人が死亡したと語った。

マリウポリは何日も前からロシア軍が包囲。脱出できなくなった住民は地下シェルターへの避難を余儀なくされ、雪を溶かして水を確保しているが、食料は残り少なくなっている。今や妊婦や新生児、子どもたちのための病院でさえも、安全な場所ではなくなった。

9日にロシア軍の攻撃で被害に遭った子どもの医療施設はマリウポリの病院だけではない。首都キエフ西部ジトーミルの市長によれば、同地でも火力発電所や民間の建物がロシアに空爆され、2つの病院の窓が吹き飛ばされたという。全員が防空壕(ごう)に避難していたため死傷者はなかったと市長は話している。

戦時国際法では、民間人を標的にしてはならず、人道活動を担う医療従事者や医療用車両、病院などを攻撃してはならないと規定している。

しかし過去2週間の間、ロシア軍は繰り返しウクライナの医療施設を攻撃しており、そうした施設が組織的に標的にされているとの見方が強まった。ただしロシア側はそれを否定している。

世界保健機関(WHO)によると、ウクライナでこれまでに確認された医療施設に対する攻撃は24回に上る。

WHOは10日、「こうした攻撃で少なくとも12人が死亡、17人が負傷した。負傷者のうち少なくとも8人、死者のうち2人は医療従事者だったことが確認された。攻撃は2月24日~3月8日の間に発生した」と説明。「WHOはこうした攻撃を強く非難する。医療に対する攻撃は国際法に抵触し、生命を危険にさらす。たとえ紛争時においても、基本的人権である医療の神聖性と安全性は守らなければならない」と強調した。

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