リビアの「勇気ある被害者」、亡命先の米国で有罪評決

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12年初めには首都ワシントンのリビア大使館に駆け込んで直談判し、月々約1800ドル(約21万6000円)の給付金を受け取る約束を取り付けた。

渡米から2年半余りたった昨年2月。同被告は、コロラド大学へ通うために引っ越していたボルダー市内の飲食店で客にビールをかけ、もう1人の客にはグラスを投げ付けてけがを負わせたとして、暴行容疑で逮捕された。

米国で逮捕されたのはこれが初めてではなかった。過去の容疑は治安を乱す行為や警官への暴行だったが、そのたびに情状酌量が認められてきた。裁判所がカウンセリングやアルコール中毒の治療を命じたこともあるが、本人はこれをはねつけた。

昨年11月には、アルコールと薬物の乱用などで4度目の逮捕。保釈時に判事から「危険人物でないことを示す最後のチャンスだ」との警告を受けたが、保釈条件違反で今年1月以降、収監されている。

傷害事件の裁判では正当防衛を主張したものの認められず、5月に有罪の評決を受けた。量刑の言い渡しは7月31日に予定されていたが、9月2日に延期された。

渡米を支援した団体の責任者は「カダフィ大佐の魔の手から逃れて来た米国で、自分自身が張ったクモの巣に絡め取られてしまったのは悲しいことだ」と話す。

新生活の立ち上げに手を貸した人々との連絡はほぼ途絶えてしまったようだ。リビアでの体験についても、いつしか語らなくなっていた。米国で大学へ行って十分な給料が得られる職に就き、自分の家庭を持つ――被告の描いたそんな夢が、かなうことはもうないだろう。

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