ロシア軍、ドネツク州でウクライナの防御突破 米ロ首脳会談前に領土奪取する狙いか

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ロシア軍に向けてりゅう弾砲を発射するウクライナ軍兵士=5日、ウクライナ東部ドネツク州/Oleksandr Ratushniak/Reuters

ロシア軍に向けてりゅう弾砲を発射するウクライナ軍兵士=5日、ウクライナ東部ドネツク州/Oleksandr Ratushniak/Reuters

(CNN) ロシア軍の小規模部隊がウクライナ東部ドネツク州の防御を一部突破したことが、地元当局者の話から明らかになった。ロシアは15日に予定されるプーチン大統領とトランプ米大統領の会談を前に、可能な限り多くの領土の奪取しようと最後の追い込みをかけているとみられる。

ウクライナの戦況監視団体ディープステートも12日、ロシア軍がドブロピッリャへ向け進軍を進めていると報告した。ドブロピッリャは、ロシアが1年以上狙っている戦略的要衝ポクロウスクから北へ約20キロの位置にある。

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日の会見で、「ロシア兵の集団が一部地域で10キロほど進軍した。手にしている武器以外には、誰も装備品を持っていない。一部の者はすでに発見され、殺害されるか身柄を拘束されている」と明らかにした。

ゼレンスキー氏は「この進軍の任務は明白だ」とも述べ、ロシアはプーチン氏とトランプ氏の会談を前に、「ロシアは前進しており、ウクライナは敗北しつつある」というゆがんだイメージを作り出そうと試みていると言い添えた。

ウクライナの複数の当局者は、ドブロピッリャ付近の防御がロシアの部隊によって突破されたことを認めたものの、突破作戦に関与している兵士は少数であり、ロシア側が領土を奪取したわけではないと強調した。このエリアの他の地域では、「優勢な敵軍との激しい防衛戦」が進行中だとウクライナ軍は警鐘を鳴らしている。

ウクライナ軍参謀本部は12日夜に更新した情報で、「占領軍はポクロウスク方面だけで11万人を超える兵力を集中投入している」と指摘。一部地域の防衛を強化するため、ウクライナ軍が追加の兵力や資源を投入していることも明らかにした。

無人機攻撃による火災の消火に当たるウクライナの消防士=10日/Genya Savilov/AFP/Getty Images
無人機攻撃による火災の消火に当たるウクライナの消防士=10日/Genya Savilov/AFP/Getty Images

ゼレンスキー氏によると、全体的な兵力比ではロシア側が3対1で有利に立つが、損失もロシアの方が3倍多いという。

プーチン氏は軍事力で奪取できなかった領土を交渉により獲得することを狙っている可能性があり、トランプ氏との首脳会談では、ドネツク州におけるロシアの前進は不可避との印象を与えようと腐心するとみられる。停戦条件を巡る情報は錯綜(さくそう)しているものの、ロシアがドンバス全域からのウクライナ軍の撤退を要求するとの見方が大半だ。

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