ハリケーン「ミルトン」が猛威、命脅かす洪水と破壊的な暴風 米フロリダ州
(CNN) 大型ハリケーン「ミルトン」は9日夜、米フロリダ州シエスタ・キー近くに上陸し、命を脅かすような高潮や破壊的な暴風を州内の広い範囲にもたらした。場所によっては1000年に一度とも目される水準の豪雨を記録している。
上陸時のミルトンの勢力は5段階のうちの3番目の「カテゴリー3」。風速約53メートルを維持していた。移動するにつれ「カテゴリー1」に勢力を弱めたが、現在も危険な暴風雨であることに変わりはない。
ホワイトハウスの声明によれば、バイデン大統領はミルトンの上陸後に状況説明を受けた。
ミルトンが内陸へ移動するにつれ、フロリダ全域で停電が急増。停電情報サイトの「パワーアウテージ・ドット・US」によると、約3時間で電力を失った家屋、事業所は200万カ所に倍増した。上陸地点のシエスタ・キーに近い複数の郡は、電力消費者の7割以上が停電に見舞われているとの報告を寄せている。
ミルトンが上陸した州中西部やタンパ周辺では、多くの地点で風速約44メートルを超える危険な暴風を観測した。ここまでの最高風速はベニスで記録した約48メートル。
ミルトンがもたらした破壊の実際の規模は夜が明けるまで判然としないが、CNNの取材班や地元の当局者は、既に冠水した道路や甚大な家屋の損壊について報告している。セント・ピーターズバーグでは大リーグのスタジアムの屋根が破損。タワークレーンが建物に向かって倒れるといった事態が発生した。タンパは夜通し危険な洪水に見舞われ、道路が水浸しとなった。
セント・ピーターズバーグでの雨量はわずか3時間で約406ミリを記録した。これは市の平均雨量の3カ月分以上に相当し、1000年に一度の規模の豪雨とみられている。
今年フロリダ州に上陸したハリケーンはミルトンで三つ目。1871年以降のハリケーンシーズンで、3回のハリケーンがフロリダ州を襲った例は他に5回しかない。
ミルトンは勢力を保ちながら、10日午前にかけてフロリダ州中部を通過する見通しだ。レークランドやキシミー、オーランド、ケープカナベラルといった都市が通り道になると予想される。