(CNN) 引退した連邦控訴裁判所の元判事で著名な保守派法学者のJ・マイケル・ルッティグ氏は20日までに、今秋の米大統領選では、共和党候補のトランプ前大統領ではなく民主党候補のハリス副大統領を支持していると明らかにした。同氏はトランプ氏の立候補を米国民主主義にとっての実存的な脅威だと指摘した。
共和党の二つの政権で司法の要職を務めたルッティグ氏が民主党に投票するのは今回が初めてだ。
CNNが独占入手した声明によると、ルッティグ氏は「2024年の大統領選挙では、米国の民主主義、憲法、法の支配の擁護者であり守護者という責務を主張できる政党は一つであり、大統領候補は一人しかいない」と述べている。そのため、ためらうことなく民主党のハリス氏に投票するという。
ルッティグ氏は当時副大統領だったマイク・ペンス氏に対し、トランプ氏に逆らい、20年の大統領選挙を承認するよう説得するという今では有名な役割を果たした。ペンス氏の弁護士の要請で作成された一連のツイートで、ルッティグ氏はジョー・バイデン氏の勝利を覆そうとするトランプ氏の試みをペンス氏が拒否する法的根拠を明確かつ詳細に説明した。
ルッティグ氏はそれ以来、トランプ氏に対する立憲的な優れた批判者として名をはせた。ハリス氏を支持するルッティグ氏は、今回の選挙では「著しく不適格な」トランプ氏が大統領に返り咲くことを防ぐために、党派的な区別は脇に置かなければならないと主張している。
ルッティグ氏はハリス氏の公共政策の見解は自身のものとは大きく異なると思うとしながらも「米国の民主主義、憲法、法の支配以外の問題に関する彼女の政策見解については今回の選挙ではこだわらない。私は全ての米国人がそうあるべきだと信じている」と述べている。
ルッティグ氏はトランプ氏に対するのと同様に共和党についても厳しく批判しており、トランプ氏と共和党が「米国の民主主義に対する戦争」を仕掛けたと糾弾している。
同氏は、この米国をむしばむ行為は世代を超えて影響を与えるだろうと付け加えている。
ルッティグ氏はトランプ氏が20年の選挙で勝利したと故意に虚偽の主張を続けているため、何百万人もの米国人がもはや国政選挙を信頼できず、今後も信頼することはないと考える。「多くの米国人、特に悲しいことに若い米国人は、立憲民主主義が米国にとって最良の自治形態であるかどうかさえ疑問視し始めている」
ルッティグ氏は、18世紀後半、政敵であったアレクサンダー・ハミルトンとトーマス・ジェファーソンを含む、建国の父たちや合衆国憲法の起草者たちが結束し、権威主義的な扇動家が出現する可能性について懸念を表明したときと同じくらい、今が危機的状況にあると主張する。
ルッティグ氏は「米国が選択するときが来た」と訴える。「米国民全員が立ち上がり、米国の民主主義、憲法、法の支配を信じて、米国に同じことを望むのか、望まないかを表明するときだ」