米政権、サウジ皇太子は免責と判断 殺害された記者の婚約者による訴訟で

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サウジアラビアのムハンマド皇太子/Leon Neal/Getty Images

サウジアラビアのムハンマド皇太子/Leon Neal/Getty Images

(CNN) バイデン米政権は17日、2018年に殺害された米紙ワシントン・ポスト記者ジャマル・カショギ氏の婚約者がサウジアラビアのムハンマド皇太子などを相手取って起こした訴訟で、ムハンマド皇太子に免責が与えられるべきだとの判断を示した。米政権はカショギ氏がムハンマド皇太子の指示で殺害されたと発表している。

司法省が国務省の要請を受けて裁判所に書面を提出した。書面によれば、ムハンマド皇太子がサウジの首相に就任し、外国政府の長に該当するため免責の対象になるという。殺人行為自体は「凶悪」と位置付けた。司法省は皇太子が訴えの却下を求めて主張した免責を含む問題について見解を求められ、回答の期限が迫っていた。

ホワイトハウスは今年7月、バイデン氏のサウジ訪問で米・サウジ関係の修復を図りたい考えだったが、訪問後も改善は実現していない。先日もサウジが中心となる石油輸出国機構(OPEC)プラスで原油減産が決まり、両国関係は再検討の対象となっている。米議員らは減産に激怒し、今回の免責付与で怒りに火が付きそうだ。

カショギ氏の婚約者のハティジェ・ジェンギズさんと、カショギ氏が立ち上げたワシントンの人権組織DAWNは20年10月、ムハンマド皇太子ほか28人をワシントン連邦地裁で提訴。暗殺チームがカショギ氏をトルコ・イスタンブールのサウジ領事館内で拉致、拷問などの末殺害し、遺体を切断したと主張した。遺体はまだみつかっていない。

DAWNは米政権の免責を求める判断について「ショックを覚える結果」であり、サウジへの「大幅な譲歩」だとの見方を示した。

米情報機関がまとめた21年2月の報告書では、ムハンマド皇太子がカショギ氏の身柄拘束または殺害を行う作戦を承認したと断定した。

ムハンマド皇太子はこうした主張を否定し、政府の様々な役職や王室の地位を理由に、訴追からの免責や米国の裁判所の管轄外に当たるとの主張を展開していた。ただ、免責は通常、国家元首か政府の長、外相だけに与えられ、単に皇太子という地位だけではそれらに該当しなかった。

ところが、バイデン政権が先月免責について検討すると予定されたタイミングの数日前に、ムハンマド皇太子はサルマン国王により首相に引き上げられた。同職は通常国王が担う。

DAWN幹部は、外交上の免責を得るための「策略」だとの見方を示した。司法省は皇太子の首相就任後、回答の延期を求めている。

国務省は免責を判断する義務はないが、今回裁判所に求められて行った。報道官はムハンマド皇太子の免責付与の要請について、長年の慣習国際法に基づくものであり、外交上の関係や働きかけを考慮したものではないと述べた。

ワシントンのサウジ大使館にコメントを求めたが返答はない。

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