予想値の22倍超す放射性物質、小学校で検出 原爆開発のマンハッタン計画に起因 米

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米ミズーリ州セントルイス郊外のジャナ小学校/KSDK

米ミズーリ州セントルイス郊外のジャナ小学校/KSDK

(CNN) 米ミズーリ州セントルイス郊外の小学校で、「許容できない」水準の放射性物質を検出したとする報告書が発表された。汚染の原因となった廃棄物は、原爆を開発・製造した1940年代のマンハッタン計画にさかのぼる。地域住民は、さまざまな疾患や疾病、死亡に関係しているかもしれないと不安を訴えていた。

ボストン・ケミカル・データ社が独自にまとめた報告書によると、同州フロリサントにあるジャナ小学校の至る所で、「許容できない」水準の放射性物質が見つかった。

「ジャナ小学校は、同地の住宅や施設、事業所の多くと同様に、コールドウォーター・クリークに面している。この水路は、第2次世界大戦の直後に始まった廃棄からの放射性廃棄物の漏出によって汚染され、今に至るまで除染されていない」。報告書の筆者、マルコ・カルトフェン氏はそう記している。

カルトフェン氏はCNNの取材に対し、同クリークの汚染はマンハッタン計画の廃棄物に起因すると指摘。同地ではある程度定期的に検査が行われているが、コールドウォーター・クリークが氾濫(はんらん)して、放射性物質の一部が学校など近隣の土地に堆積(たいせき)したと説明した。

学校区は14日の声明で、報告書については認識していると述べ、教育委員会が専門家などの意見を聴きながら今後の対応を検討すると表明した。

学校委員会は18日に会合を予定している。PTAは、ジャナ小学校や周辺の遊び場で見つかった放射能汚染を「容認できない脅威」と位置づけ、子どもたちや教職員の安全のため、直ちに除染を行うよう、自治体や議会に対応を求める方針。

検査は今年8月、土壌やほこり、植物など32の検体を採集して実施した。検体はジャナ小学校の図書館、換気口、教室などから採集された。

この検査について報告書では、「特に、校庭で見つかった放射性同位元素・鉛210の値は到底容認できないものだった」と指摘する。検査で検出された鉛210の値は、幼稚園の遊び場で予想されるバックグラウンド値の22倍以上、学校のバスケットボール場では12倍を超えていた。

鉛汚染は体内のほぼ全組織に影響を及ぼし、脳や神経系の損傷を引き起こす可能性がある。成長や発育が遅れ、知能の低下や注意欠陥・多動性障害などの学習・行動問題、聴覚や言語の問題につながることもある。米疾病対策センター(CDC)は、子どもの血中鉛濃度に安全値はないとしている。

CDCによれば、放射性物質にさらされればがんを発症することもある。放射性物質は、衣類のほこりなどを通じて人から人へと拡散し得る。

「体の外側が汚染されていると、表面に触れたり、いすに座ったり、家に入ったりすることで、汚染を拡散させる可能性がある。汚染物質は簡単に衣類から落ちて他の表面を汚染し得る」(CDC)

ジャナ小学校は児童数約400人。米連邦保健機関の有害物質疾病登録局によると、隣接するコールドウォーター・クリークは、マンハッタン計画に使われたウラン処理の廃棄物で汚染されていた。

コールドウォーター・クリークは、放射性廃棄物の不適切な保管が原因で、数十年前に汚染された。ジャナ小学校はこの川と支流に囲まれている。

同局の2019年の報告書によれば、地元住民は、数多くの疾患や死亡がこの場所に関係しているようだと訴えていた。しかし同局は、汚染との確固たる因果関係は特定できなかったと結論付けていた。

報告書では「除染前のコールドウォーター・クリークと周辺における放射能汚染は、そこで遊んだり生活したりした人が特定種のがんにかかるリスクを増大させた可能性がある」とした。

米国陸軍工兵司令部は18年、学校付近で放射性物質を検出し、19~21年にかけても放射性物質の存在を確認していた。しかし報告書によれば、同司令部が検査したのは校外で採集した検体のみで、校内や学校の敷地内の検査は行っていなかった。

工兵司令部は報告書を受けて声明を発表し、報告書やその方法論を今後評価するものの、採用された評価技術が同部の承認するものとは異なり、その正確性には徹底した検証が必要だと指摘した。

また学校の土地では土手付近で汚染があるものの、木が生い茂ったエリアの地下部分であり、クリークと遊び場の間の氾濫原は汚染されていないとも説明。データから現段階で示唆されているのはクリークの土手とは別個の汚染との見方も示した。これまで敷地のサンプリング状況について学校区と協力しており、健康や環境にリスクや直接の脅威を及ぼす汚染は除染の優先対象になるとも言明した。

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