ルイジアナ州沖で石油流出、ハリケーンでパイプライン破損か 責任の所在不明

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米ルイジアナ州沿岸に位置する野生動物保護区近くの海中に石油が流出した様子/Satellite image © 2021 Maxar Technologies

米ルイジアナ州沿岸に位置する野生動物保護区近くの海中に石油が流出した様子/Satellite image © 2021 Maxar Technologies

(CNN)  猛烈なハリケーン「アイダ」に直撃された米南部ルイジアナ州沖の海上で、パイプラインの破損が原因とみられる石油の流出が報告された。メキシコ湾岸は無数のパイプラインが入り混じった「スパゲティ状態」(専門家)にあり、沿岸警備隊などが責任の所在を追求している。

石油ガス開発会社タロス・エナジーはルイジアナ州南東部のベイマーチャンドで石油が流出しているとの報告を受け、現場に対応チームを派遣した。

5~6日にかけては潜水作業でパイプラインからの流出が見つかり、タロスは7日、格納ドームをかぶせて流出した石油を水上の船舶に回収できる状態になったと発表した。

ただし、流出は同社の操業が原因ではないと主張している。タロスに連絡があったのは、流出が起きたのが過去に同社がリースしていたブロックだったためだと説明。しかし同ブロックでの生産は2017年に打ち切り、油田は隔離してインフラは全て撤去したとしている。

責任の所在は現時点で判明していない。

メキシコ湾岸の一帯には古いパイプラインや廃棄された油田が無数に存在する。ルイジアナ州の環境保護団体の専門家ウィルマ・サブラ氏は、「沖合のパイプラインを地図で見ると、まるでスパゲティのように見える。スパゲティを投げ込んだような状態だ。至る所、どこもかしこもパイプラインだらけだ」と指摘、「古いパイプラインや新しいパイプライン、それにタロスのような業者が長年の間に破棄したパイプラインがたくさんある」とした。

米会計検査院が今年発表した報告書によると、安全環境執行局は1960年代以来、オフショア石油・ガス業界が使わなくなったパイプラインの97%(1万8000マイル=約2万9000キロ)を海底に残すことを認めている。パイプラインは廃棄時に適切に洗浄しなければ、石油やガスが残ることもある。

沿岸警備隊によると、5日にベイマーチャンド上空を飛行した際は目に見える石油の流出は確認できなかったが、「回収不可能な虹色の油膜が約11マイル(約17キロ)の長さで確認された」。流出元は確認できなかったという。

タロスはアイダの影響で破損したと思われる他社のパイプラインが見つかったと述べ、この中には流出元と思われるパイプラインも含まれるとした。

自社のパイプラインについては、物理点検や海底音波探知機による検査の結果、流出元ではなかったことを確認したとしている。

沿岸警備隊は、調査の一環として責任の所在を追及すると表明。タロスは破損したパイプラインの所有者を突き止め、連携して流出に対応するため、沿岸警備隊や州および連邦当局に協力すると説明した。

一方、沿岸警備隊は、アイダの上陸後に発生した石油流出事案約350件への対応を優先するとしている。

一般から寄せられた流出に関する報告は、軽微なものから重大な汚染報告の可能性があるものまで多岐にわたっているという。

メキシコ湾には「古いパイプラインや破棄された油田が、多くはふさがれないままの状態で、無数に存在している」とサブラ氏は言い、ハリケーンや暴風雨に襲われてメキシコ湾や周辺の海底が荒れるたびに、今回のような石油流出が繰り返される恐れがあると予想した。

当局によると、アイダが上陸した日はメキシコ湾岸の石油製造施設の95%以上が操業を停止した。

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