次の戦場は宇宙、米軍が準備加速 衛星に迫る中ロの脅威
「我が国の宇宙配備を狙う者があれば、我々はそれを阻止できる能力を追求する」「魚雷を撃墜できる能力を備えておくことが望ましい」。そう語るワーク氏が想定するのは、第2次世界大戦中に米海軍が海中に投下して攻撃型潜水艦を爆破した水中爆雷の宇宙版だ。
「衛星が建造され、打ち上げられた15年前、宇宙空間は無害で脅威は存在しなかった」。そう解説するのは米軍高官のデービッド・バック氏。「それが現在は我が国の衛星は危険にさらされ、地上のインフラが危険にさらされている。我々はその防衛に力を入れている」
そうした兵器はまだコンセプト段階だが、いずれ宇宙空間での防衛や攻撃に利用することを想定した先端兵器の開発も進む。米軍が初めて運用するレーザー兵器「LAW」は海軍艦「USSポンス」に搭載されてペルシャ湾に配備。無人宇宙ドローン「X37b」は既に数回の宇宙飛行を実現している。
それでもロシアと中国の急展開を前に、初めて宇宙が舞台となる次の戦争では米国が敗北するかもしれないと予想する専門家や軍高官もいる。米宇宙軍のウィリアム・シェルトン元司令官は、「我が国の衛星を積極的に防衛できるのかと言われれば、ノーと答えるしかない」と語った。