アフガン初の女性観光ガイド、後進の育成にも意欲

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仕事で得た収入で大学に通う/Courtesy Untamed Borders

仕事で得た収入で大学に通う/Courtesy Untamed Borders

先駆者としての自覚

無論、先駆者になるのは決して容易ではない。

ファティマさんは、家族の一部を含む多くの人から、女性が仕事、特に男性と1対1で交流する仕事をするのは危険すぎると忠告されたという。

また旅行者を地元の市場に案内している最中に子どもたちから石を投げられたり、人々からやじを浴びせられたこともあるという。

残念ながら、アフガニスタンでは働く女性がこのような経験をするのは珍しくない。国連のデータによると、アフガニスタンで自宅の外で雇用されている女性は全体の19%にすぎないという。

ファティマさんは、勤務先の旅行会社や観光ガイドの仕事を通じて知り合った人々の支援が心の支えになっているという。「私の人生に困難は付き物。私があきらめたら、他の女性たちは一歩を踏み出せない」とファティマさんは言う。

ファティマさんは身の安全を守るために、仕事中は控えめな服装をし、深夜に決して旅行者の団体と外出はしないという。

Courtesy Untamed Borders
Courtesy Untamed Borders

アフガニスタンの観光業は、比較的安全だった70年代がピークで、年間に同国を訪れる外国人旅行者数は平均で9万人に上った。同国の旅行者数に関するデータは不十分な上に整合性を欠くが、2013年に同国の副観光相が米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、年間の旅行者数は1万5000人から2万人程度と述べた。

現在、米国を含む多くの国が旅行情報を出し、アフガニスタンを訪問しないよう市民に勧告している。

しかし、どの国を訪れ、どのような旅をするかの選択は、大きな変化をもたらす可能性もある。観光業は誰もが大学の学位を求められる業界ではないため、参入は比較的容易だ。

ファティマさんは、観光ガイドの収入で家計を助けるだけでなく、大学に通うための金銭的な余裕もできた。ヘラート大学に入学したファティマさんは、現在ジャーナリズムを学んでいるという。また副業で、難民のための学校で41人の少女たちに英語を教えている。

将来、観光ガイドの養成学校を開設するのがファティマさんの願いだ。その学校は男子と女子ともに入学可能だが「女性が優先」だという。アフガニスタンでは女性の就職の機会がほとんどないためだ。

「私はアフガニスタンで観光ガイドになった最初の女性だが、最後の女性にはなりたくない」(ファティマさん)

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