クロエ・ジャオ監督のアカデミー賞受賞、中国で祝福の声上がらず

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ジャオ監督は英米で教育を受け、ニューヨーク大学で映画製作を学んだ/Matt Petit/A.M.P.A.S./Getty Images

ジャオ監督は英米で教育を受け、ニューヨーク大学で映画製作を学んだ/Matt Petit/A.M.P.A.S./Getty Images

ほどなくして中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」からは「ノマドランド」の宣伝素材が消えた。同作は今月23日に中国で公開予定だったが、国内の主要な映画サイトから情報が削除され、26日時点で近日中の上映についての案内はない。

8年前のたった1つのコメントでジャオ監督の功績が否定される現状は、現政権下の中国で国家主義的な機運がいかに広がっているかを示唆している。

コメントに加え、中国共産党の目にはジャオ監督の比較的恵まれた生い立ちや西洋式の教育を受けてきた経歴も、中国人のサクセスストーリーとして利用するには理想的なケースに映らなかったのかもしれない。

ジャオ監督は英国と米国の学校に通い、ニューヨーク大学で映画製作を学んだ。こうした経歴は、ほとんどの中国人にとって実現不可能なものだ。

ジャオ監督への批判のほかにも、今年のアカデミー賞は中国政府にとって政治的な悩みの種となる作品がもう一つあった。香港の2019年の民主化デモを記録した「不割席」で、短編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされていた。

このノミネートがアカデミー賞を報じない要因となったのかはわからない。だが、国際長編映画賞には中国の映画「少年の君」が同部門で約20年ぶりのノミネートを受けていたにもかかわららず、ウェイボーの人気トピックのトップ50に同賞は入ってこなかった。

それでもウェイボーの非公式アカウントでジャオ監督の受賞のニュースがシェアされると、多くのユーザーがジャオ監督を祝福するコメントを残した。ただ、投稿はすぐに検閲対象となり、数時間以内に消えた。

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