最小加工食品で減らせた体重、「健康的な」超加工食品の2倍 英研究

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家庭で自然食品から調理した食事は「加工が最小限」とみなされる/MoMo Productions/Digital Vision/Getty Images

家庭で自然食品から調理した食事は「加工が最小限」とみなされる/MoMo Productions/Digital Vision/Getty Images

(CNN) 家庭料理のようなほとんど加工されていない食品で減量できた体重は、「健康的な」超加工食品の2倍だったという英国の研究結果が発表された。「たとえ栄養基準を満たした超加工食品だったとしても、体重は最小加工食品の方が減らしやすい」と研究者は指摘している。

この研究は、米国立衛生研究所(NIH)元研究員のケビン・ホール氏や、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)のサミュエル・ディッケン氏らの研究チームが学術誌ネイチャー・メディシンに発表した。

実験では過体重の被験者に一定期間、超加工食品と最小加工食品を摂取してもらった。その結果、最小加工食品を摂取した被検者は体重が2%減少した。「2%はそれほど大きな減量には思えないかもしれないが、8週間の間、被検者は積極的に食べる量を減らそうとはしていなかった」「1年間で計算すると、男性は13%、女性は9%の減量が見込める」とディッケン氏は解説する。

男性は一般的に女性よりも筋肉量が多く、ホルモンの影響もあって女性よりも速いペースで体重が減少する。

実験では英国で過体重の55人を対象として計8週間にわたり、超加工食品の食事とほとんど加工されていない最小加工食品の食事のいずれかを提供。続いて短期間の間を置いてグループを入れ替え、超加工食品と最小加工食品を切り替えて提供した。

被験者には1日4000カロリー分の食事を提供して好きなだけ摂取してもらい、毎日の摂取量を記録してもらった。計50人が両方の食事を8週間ずつ、計16週間継続した。

最初の8週間は28人に対し、例えばオートミールの軽食や自家製スパゲティ・ボロネーゼなどの最小加工食品と軽食を毎日届けた。

加工の度合いで食品を分類するNOVA分類法によると、果物、野菜、肉、牛乳、卵などの最小加工食品は一般的に、自然な状態から調理する。

一方、別の27人は、袋から出してそのまま食べる朝食バーや、温めて食べるラザーニャといった超加工食品を毎日食べてもらった。

超加工食品には、家庭ではまず使用しない添加物が含まれており、大抵は大規模な工業加工処理が施されている。

そうした食品は一般的にカロリーが高くて糖分や塩分、飽和脂肪酸が多い半面、食物繊維は少ない。このため肥満やがん、心血管系疾患、2型糖尿病、うつ病といった疾患との関係が指摘され、短命につながることもある。

ただし今回の実験では、推奨摂取量の野菜や果物、食物繊維が含まれ、塩分や糖分、飽和脂肪酸の含有量が低い「健康的な」超加工食品を選んだ。

超加工食品の食事も最小加工食品の食事も、英政府が推奨する健康的でバランスの取れた食事のガイドラインの栄養基準に従った。

この調査の目的は体重を減らすことにあり、その目標は予想外の形で達成された。

超加工食品を摂取したグループの1日の摂取量は120カロリー減って、体重はわずかに減少した。最小加工食品を摂取したグループの方は1日の摂取量が290カロリー少なくなり、それ以上の体重と体脂肪の減少につながった。

考えられる理由として米ニューヨーク大学のマリオン・ネスレ氏は、最小加工食品を摂取したグループは「健康的な」食事を好まなかった可能性があると指摘する。

「彼らは最小加工食品をあまりおいしくないと思った」「こちらの食事は『本物の』新鮮食品に重点を置いていたのに対し、超加工食品の食事は果物やナッツのプロテインバー、サンドイッチセット、飲むヨーグルト、植物性ミルクといった市販の『健康的な』超加工食品が中心だった」(同氏)

英国で政府推奨の栄養基準を全て守っている人は1%に満たず、超加工食品を普段の食事の中心としている人も多い。米国では成人のカロリー消費のほぼ60%を超加工食品が占める。

米スタンフォード大学のクリストファー・ガードナー氏によると、今回の調査の被検者は太りすぎまたは肥満の人で、普段から超加工食品が多い食生活をしていた。「このため今回の実験で摂取した超加工食品の方が、それまでの食事よりも健康的だった」

心疾患や脳卒中のリスク増加に関係する脂肪の一種、トリグリセリドの血中濃度は、最小加工食品を摂取した被験者の方が低かった。しかしそれ以外に、心臓の健康状態を示す数値に大きな差はかった。

ただし例外として、LDI(悪玉)コレステロールの減少は、超加工食品を摂取した場合の方が大きかった。

「英国の健康ガイドラインに沿った食事であれば、心臓の健康にとって加工はそれほど問題ではないのかもしれない」とオックスフォード大学のディミトリオス・コウトゥキディス氏は話し、「これについて理解を深めるためにはさらなる研究が必要だ」としている。

つまり加工の度合いにかかわらず、健康的な食品を選ぶことが望ましいと専門家は指摘し、「栄養成分表示をよく読んで、塩分、脂肪、糖分、カロリーが低くて食物繊維が豊富な食品を選ぶこと。発音できないような名称の添加物が多すぎる食品は避けること。それが健康的な食生活の鍵を握る」とガードナー氏はアドバイスしている。

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