ベラ・ルービン天文台、史上最大級のカメラで撮影した画像を公開 数百万の銀河が明らかに
(CNN) 米国立科学財団(NSF)は23日、ベラ・ルービン天文台で史上最大級のカメラによって撮影された多くの画像と動画を同財団のユーチューブチャンネルで公開した。天文台の名前は先駆的な天文学者ベラ・ルービン氏にちなんで名付けられている。
映像はわずか10時間の試験観測で撮影されたもの。これまでにない規模で数百万もの遠方の恒星や銀河からの光を捉え、数千もの未知の小惑星を明らかにした。

三裂星雲の近くにある散開星団メシエ21は若くて小さく、暗い星の集まりだ/RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA
この天文台の最初の成果の一つは、2104個の小惑星を発見したことだ。これには太陽系でこれまで観測されたことのない七つの地球近傍小惑星が含まれる。天文台の科学者によると、新たに発見された地球近傍小惑星はどれも地球に危険をもたらすものではない。
Vera C. Rubin Observatory
地上および宇宙に設置された望遠鏡が毎年約2万個の小惑星を発見している一方で、ルービン天文台は最初の2年間で数百万個を発見するとみられている。同天文台の望遠鏡は、太陽系を通過する可能性のある恒星間天体を発見する最も効果的な方法とも考えられている。

合成画像は678枚の別々の画像を組み合わせて、三裂星雲(右上)と干潟星雲のガス雲や塵のような細部を示している/NSF-DOE Vera C. Rubin Observatory
望遠鏡の鏡の設計や速度、高感度カメラは、いずれもこの種のものとしては初めてのものであり、小惑星のような小さくぼんやりとした天体を発見できる。財団によると、同天文台は毎晩数千枚の画像を継続的に撮影し、明るさの変化を記録することで、地球に衝突する可能性のある地球近傍小惑星など、隠れた天体を明らかにする予定だ。

三裂星雲は、散開星団、自ら発光するガス雲と塵の放射星雲(ピンク色の領域)、近くの星の光を反射する反射星雲(青色の領域)、背後の物体からの光を遮るほど密度の高い暗黒星雲(暗黒領域)が組み合わさった珍しい星雲/RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA
23日に先行公開された映像には、撮影された1100枚超の画像から作成された動画が含まれている。動画は詳細に捉えられた二つの銀河から始まり、その後、ズームアウトして、カメラの広視野角で撮影された約1000万個の銀河を映し出す。これは、ルービン天文台が10年間で観測する200億個の銀河の約0.05%に相当する。

散開星団Bochum 14には同一の巨大分子雲から形成された数千個の星が含まれる/RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA
観測チームは、いて座にある星雲に似た星形成領域である三裂星雲と干潟星雲の合成写真も公開。写真はわずか7時間で撮影された678枚の画像から作成され、地球から数千光年離れたこれらの星雲内のガス雲や塵(ちり)など、これまで見えなかったかすかな細部を捉えている。

球状星団NGC6544の輝く数万個の星/RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA
チリ・アンデス山脈にあるセロ・パチョン山の山頂に位置するこの天文台は、約20年にわたる建設期間を経て、完成に近づいている。7月4日には、口径8.4メートルのシモニー・サーベイ望遠鏡を用いて、南半球の空における初の科学観測を実施する予定。ルービン天文台のプログラムオフィサーであるエドワード・アジャール氏によると、この望遠鏡は南半球に位置しているため、天の川銀河の中心部を鮮明に観察できる。

チリのセロ・パチョン山の山頂に位置するベラ・ルービン天文台/Aliro Pizarro Díaz/NSF-DOE Vera C. Rubin Observatory
チリ中部の同地域には、ルービン天文台以外にも複数の地上天文台がある。乾燥した大気と暗い空が天文観測に適した環境を作り出している。

地球から約5500万光年離れたおとめ座銀河団。赤や青に輝く星のほか、近くの青い渦巻き銀河や遠方の赤い銀河群も見える/RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA