グリーンランドの氷河、潮の満ち引きで融解加速か 米研究

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グリーンランド最大級のピーターマン氷河について、潮の満ち引きの影響で氷河の融解が進み、海面上昇が速まっている可能性を示唆する研究結果が発表された/Jesse Allen/Robert Simmon/NASA Earth Observatory/AP

グリーンランド最大級のピーターマン氷河について、潮の満ち引きの影響で氷河の融解が進み、海面上昇が速まっている可能性を示唆する研究結果が発表された/Jesse Allen/Robert Simmon/NASA Earth Observatory/AP

(CNN) グリーンランド最大級のピーターマン氷河を観測する米研究チームは、潮の満ち引きの影響で氷河の融解が進み、海面上昇が速まっている可能性を指摘している。

米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)と米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の共同チームが米科学アカデミー紀要(PNAS)に報告した。

それによると、ピーターマン氷河と海に張り出して浮かぶ「棚氷」の境界である「接地線」は、1日のうちに潮が満ちたり引いたりするたび、2~6キロ移動することが分かった。

従来の研究は接地線が動かないことを前提としてきたため、これは重要な発見と考えられる。その結果、暖かい海水が陸地のほうへ流れ込んで氷河の裏側を解かし、海面上昇を加速させている可能性がある。

ピーターマン氷河では2016~20年の間に、潮の満ち引きで流れ込む暖かい海水によって、接地線の下に高さ約200メートルの穴ができた。米ニューヨークの自由の女神像を中に2体、積み重ねることができる大きさだ。

こうした現象は今後数年または数十年のうちに、海水温の上昇にともなってさらに悪化する恐れがあるという。

NASAによれば、グリーンランドで解ける氷は世界の海面が上昇する最大の要因。上昇はここ数年ますます加速してきたが、現在の予測モデルは氷の裏側で潮の満ち引きがもたらす融解を考慮していない。

チームを率いるUCI教授は、この影響を加算した場合、予測される海面上昇は最大で3倍に上ると主張。ピーターマンだけでなく、グリーンランド北部の大半や南極全体で海に流れ込む氷河もすべて同様だと話している。

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