古代シチリアの「聖なる湖」、夜空の星に合わせて設計

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研究者らは過去10年、池から水を排出して発掘作業を行ってきた/Sapienza University of Rome Expedition to Motya

研究者らは過去10年、池から水を排出して発掘作業を行ってきた/Sapienza University of Rome Expedition to Motya

モティアでは過去60年にわたって発掘作業が行われていて、湖の真の目的に関して手がかりとなりうる発見があった。研究チームは人工湖の端で建物を発見し、港の建物ではなく「バアル神殿」だと断定。2010年のこの発見がきっかけとなり、コトンをめぐる新しい見方が浮上した。

聖なる湖は淡水で満たされ、周囲を3棟の神殿に囲まれていた。中央の台座にはフェニキア人の間で「バアル」の名で知られる神オリオンの像が乗っていた。

この男神の像は1933年に最初に見つかり、パレルモのアントニオサリナス地域考古学博物館で展示されることになった。高さは2.4メートルに上る。

ここ10年間、ニグロ氏らは発掘作業を行うために池から水を排出。人工湖の全長や幅は五輪の競泳プールを上回っていた。

「この結果、港の役割を果たしていた可能性はないことが判明した。海にはつながっておらず、自然の泉から水が流入していた」(ニグロ氏)

調査を通じ、研究チームは池に沿って並ぶ他の神殿や祭壇、供え物、かつて像が乗っていた台座、碑文が刻まれた石柱なども発見した。

一連の発見は、この場所が港ではなく聖なる湖だったことを裏付けるものだった。さらに宗教施設の地図を作成したところ、星の位置に合わせて配置されていたことが判明。施設の主要な構造物や特徴は、特定の星座や他の天体観測の結果を示す。

「付近にあるバアル神殿は冬至の夜空に上るオリオン座に合わせて配置され、石柱などは他の天文現象に合わせてあった」とニグロ氏。「これは古代文明の持っていた空に関する深い知識を示している」

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