牙のない雌ゾウが増加、密猟に対応する進化 モザンビーク

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調査の結果、牙のない雌は牙のある雌に比べ生存確率が5倍あまり高かったという/Shane Campbell Staton

調査の結果、牙のない雌は牙のある雌に比べ生存確率が5倍あまり高かったという/Shane Campbell Staton

論文の著者であるロング氏は「進化とは単純に、ある集団内で継続する世代にわたって起きる遺伝形質の変化のことだ。我々の研究結果で言うと、ゴロンゴーザの雌のゾウの間で牙がなくなる変化はこの定義に完璧に当てはまる」と語る。

「変化がこれほど急速に進んだのは非常に珍しいことであり、淘汰(とうた)の強力さが直接機能したものといえる」「言い換えれば、進化がこれほど早く進んだのは、牙のない雌の方が内戦を生き延びる確率が『はるか』に高く、次世代に遺伝子を残せる可能性が『はるか』に高かったためだ」(ロング氏)

だが、雄のゾウについてはどうか。研究チームは雌のゾウ18頭の血液サンプルを採取し、ゲノム解析を実施。その結果、牙のない雌はX染色体の特定の領域に遺伝子変異が起きていることが分かった。

「雌はX染色体を2本持つ。牙のない雌ではそのうち1本の染色体が『正常』で、もう1本では情報が削除されている」とロング氏は説明。「牙のない雌ゾウが雄の子どもを妊娠すると、その雄は半々の確率で問題のあるX染色体を母親から受け継ぐ。『正常』な染色体を受け継いだ場合、その雄は無事に生き延びて、牙の形成に必要な遺伝情報とともに生まれてくる」と解説する。

しかし、雄のゾウの胎児が遺伝子変異を持つ染色体を受け継いでいる場合、牙のない雌を生み出す変異は雄にとっては致命的となるため、その雄は子宮の中で死ぬ結果になるという。

ただ、牙のない雌が生まれる一方で、雄は22カ月の妊娠期間中に死ぬことにつながる正確な遺伝上、発生上のメカニズムについてはまだ分かっていない。

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