1万5000年前の未知のウイルス、チベットの氷河から発見
(CNN) 中国西部チベット高原の氷河で採集された氷の試料から、これまで存在が知られていなかった1万5000年前のウイルスが見つかった――。学術誌「マイクロバイオーム」に今週、そんな論文が発表された。
論文によると、今回発見されたウイルスは、研究者によって過去に分類されたどのウイルスとも異なるという。
米オハイオ州立大の気候学者や微生物学者を含むチームは2015年、海抜約6700メートルにあるグリヤ氷冠の頂上から、「氷コア」と呼ばれる試料を2つ採取した。
論文の筆頭著者、ジピン・ゾン氏は22日、CNNに対し、この氷コアは深さ約310メートルの地点にあったものだと説明。氷コアは採取後、長さ約90センチ、直径約10センチの各部位に切り分けられた。
続けて研究チームが氷を分析したところ、33種類のウイルスが見つかった。このうち少なくとも28種類は未知のウイルスで、凍結されたために生き延びることができていた。
論文によると、これらのウイルスは人間や動物ではなく土壌か植物に由来し、極限的な環境に適応した可能性が高い。人間への害はないとみられるという。
論文によると、氷はさまざまな時代のウイルスや微生物を含む大気を取り込んでいる。論文共著者のロニー・トンプソン教授はCNNに対し「氷は凍った過去の記録を提供してくれる」と話した。
氷河内のウイルスについて知られていることは比較的少ないが、気候変動の影響で世界各地の氷が融解する中、この学問分野の重要性は増している。新型コロナウイルスの流行により、微生物コミュニティーの研究の重要性について意識が高まっているという。