スペースXの補給船打ち上げ、赤ちゃんイカとクマムシが宇宙へ
ブースビー氏の実験の目的は、クマムシが地球を周回する軌道上での生活にどう適応するかを観察することにある。これによって、人間が宇宙空間で直面するストレス要因についての理解を深めたい意向。「宇宙飛行士を長期の宇宙滞在から守る助けになる対策や療法の開発につながることを期待する」とブースビー氏は言う。
一方、フロリダ大学のジェイミー・フォスター教授が主導する「UMAMI」実験は、ダンゴイカを使って超微小重力が動物と微生物との共存関係に及ぼす影響を探る。健康に役立つ微生物が宇宙空間で動物の組織にどう作用するかを見極めたい意向だ。
「人間を含む動物は、微生物に頼って健康な消化器系や免疫系を維持している」「宇宙飛行でそうした有益な相互作用がどう変わるかは、まだ完全に解明されていない。UMAMI実験は、暗闇で光るダンゴイカを使ってそうした動物の健康の重要な課題に対応する」(フォスター氏)
ダンゴイカは体長わずか3ミリほど。体内に特殊な発光器官があり、そこにすみついた発光微生物を使って発光する。この共生関係は1種類の微生物と1種類の宿主組織の間で成り立っているため、仕組みが観察しやすいとフォスター氏は説明する。
ダンゴイカの免疫系は、人間の免疫系とよく似ていることから、動物と微生物との相互に有益な関係が宇宙空間で変化した場合、そこから学ぶことができる。
「宇宙空間を探検する宇宙飛行士は、さまざまな種類の微生物を伴っている」「そうした微生物が宇宙環境でどう変化し、そうした関係がどう確立されるかを理解することは非常に重要だ」とフォスター氏は話している。