新型コロナ感染者の抗体反応、1カ月後には低下する可能性 英研究
(CNN) 新型コロナウイルスへの感染によって身につく免疫の機能は、獲得から1カ月以内に低下する可能性があるとの新たな研究結果が発表された。
研究論文は医療健康に関する情報サイト「medRxiv」上で11日に公開された。まだ査読は済んでおらず、専門誌には掲載されていない。
それによると、新型コロナの感染者の抗体反応は症状が現れてから20~30日後に低下する可能性があるという。抗体はたんぱく質からなり、これにより生体は体内に侵入したウイルスや細菌などと闘うことができる。
英国の機関が行った今回の研究では、感染が確認されて症状が出始めてから最長で94日間経過した患者65人と、3~6月にかけて1~2週間ごとに抗体検査を受けた医療従事者31人からそれぞれサンプルを採取した。その結果、症状があらわれて20~30日後には抗体反応が低下すること、抗体の持続力は症状の重さによって決まる可能性があることが明らかになったという。
米疾病対策センター(CDC)によると、一般的に体内に抗体が作られるまでは感染から1~3週間かかるとみられている。パンデミック(世界的流行)の初期段階から、世界保健機関(WHO)は新型コロナについて、一度感染しても免疫を必ずしも獲得できるとは限らないと警告してきた。
サンプル数の拡大やより長期にわたる観察などさらなる研究が必要だが、「再感染に対する予防、ワクチン防御の持続力を考察するうえで重要な示唆を含む」と、調査に当たった研究者らは記している。
今回の研究に関与しなかった英リーズ大学のスティーブン・グリフィス准教授は、査読が済んでいないとはいえ研究の重要性は明らかだと指摘。「研究によって、新型コロナ感染者の防御のための抗体反応が急速に低下するとみられることが確認された。重症者の場合は反応がより長く持続するが、それも数カ月の話にすぎない」と述べた。
そのうえで「この結果は、時間とともに再感染する可能性があり、流行が季節的なものになりかねないことを意味する。命を奪われる危険性もあるウイルスであることを考慮すれば、厄介な問題なのは間違いない」「ワクチンは自然感染の場合と比較してより強力かつ持続力のあるものを開発する必要があるだろう。あるいは定期的な接種が求められるかもしれない」との見方を示した。
WHOによれば13日現在、全世界で23種類の新型コロナワクチンが臨床試験の段階に入っている。