ジュラ紀の肉食恐竜、獲物不足で共食いか 骨に残る傷を分析

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ジュラ紀後期の北米で肉食恐竜同士が共食いを行っていた可能性を示す研究結果が出た/Brian Engh/PLOS ONE

ジュラ紀後期の北米で肉食恐竜同士が共食いを行っていた可能性を示す研究結果が出た/Brian Engh/PLOS ONE

(CNN) 今からおよそ1億5000万年前のジュラ紀後期、北米大陸にすむ肉食恐竜は、えさとする恐竜が不足する中で共食いを行っていた可能性がある――骨の化石に残る傷を分析した新たな研究が、そうした結論を導き出した。

当該の恐竜は獣脚類と呼ばれるグループに属する。二足歩行の肉食恐竜で、小型のものから極めて巨大なものまで幅広い種類が存在する。

今回研究者らは、米コロラド州にある採石場のジュラ紀後期の地層を発掘し、そこから大量に見つかった骨の化石に残る傷を調査した。関連する論文は27日、米科学誌プロスワンに掲載された。

これらの傷のなかから、複数の手法を用いて他の恐竜の噛んだ痕と思われるものを割り出し、さらにその恐竜の種類や体の大きさを推計した。その結果、調査対象とした化石2368点のうち、28.8%にあたる684点から1匹以上の獣脚類による噛み痕が確認された。

発掘された骨の化石から獣脚類の噛み痕が見つかるのは非常に珍しい。過去の研究で恐竜を中心とする生物の化石群を複数調べたところ、獣脚類による噛み痕を持つ化石の占める割合はわずか4%以下だったという。

今回見つかった噛み痕のほとんどは、竜脚類と呼ばれる草食恐竜のグループの骨についていた。一方で、噛んだ主体と同じ獣脚類の骨についた噛み痕も全体の17%から見つかった。これは割合として2番目に高い。

獣脚類の骨に残る傷は肉食恐竜同士による共食いを示唆する。ただ噛み痕が残る骨の部位が肉や内臓に近いあばら骨や脚の長骨だけでなく、ごく小さな足の指の骨にも及んでいることから、肉食恐竜らは互いに捕食し合っていたというよりも仲間の死体を食べていたという方が実態に近いと研究者らはみている。

こうした調査結果から、肉食恐竜が共食いをするほど当時の採石場周辺の生態系は逼迫(ひっぱく)した状況になっていた可能性がある。一方で傷のある化石が多く見つかる背景については、従来の発掘の手法が博物館での展示などを念頭に、傷のない化石を優先的に採集してきたことも影響しているかもしれないと研究者らは指摘する。

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