遺伝子工学で鶏卵からがん治療薬成分、日本のチームが成功

2017.10.19 Thu posted at 19:55 JST

[PR]

(CNN) ニワトリに遺伝子工学の技術を使い、多発性硬化症(MS)やがんの治療に使われるたんぱく質「インターフェロンβ(ベータ)」を豊富に含んだ卵を産ませることに、日本の研究チームがこのほど成功した。これまで非常に高価だった治療薬を、はるかに安く作れるようになる可能性がある。

国立の産業技術総合研究所(AIST)と農業・食品産業技術総合研究機構、バイオ研究関連の専門商社「コスモ・バイオ」の共同チームが現在、学会発表の準備を進めている。

インターフェロンβの生産には従来、大規模な無菌施設が必要とされてきた。このためコスモ・バイオによると、現在の価格は1マイクログラム(100万分の1グラム)あたり300~1000ドル(約3万3000~11万円)に上る。例えばMSの治療は30マイクログラムの投与から始まり、さらに追加されていく。

同社の報道担当者によれば、新たな技術が実用化された場合、がん治療薬の価格を1割以下に抑えることができるという。

たんぱく質の構造を持つ医薬品の製造には、これまでもイースト菌などの微生物や動物の細胞が使われてきた。インターフェロンも大腸菌やチャイニーズハムスターの卵巣細胞に作らせる方法が開発されたものの、安価に大量生産するまでには至っていない。

共同チームは当初、ニワトリの染色体に必要な遺伝子を埋め込むことによってインターフェロンβを含んだ卵を産ませようとしたが、結果にはばらつきが出た。そこで新たに高精度のゲノム編集技術を使ったところ、より正確かつ安定的にインターフェロンβを作れるようになったという。

卵白から得られたインターフェロンβの安全性が検証され、従来の方法で作った場合と同じ構造になることが確認されれば、生産を拡大して薬を安く供給できるようになる。

メールマガジン

[PR]