中性子星の衝突、重力波で初観測 光と重元素も放出

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中性子星が衝突、重力波と光を初観測

(CNN) 米国などの研究チームは16日、地球から1億3000万光年離れた銀河で、2つの「中性子星」が衝突する現象が初めて観測されたと発表した。衝突の結果、重力波と呼ばれる波と、ガンマ線バーストと呼ばれる光が放出されたほか、「キロノバ」という爆発現象によって金やプラチナや鉛などの重元素が宇宙に拡散した。宇宙で1つの根源から重力波と電磁波の2つの波が放出される現象を観測したのは今回が初めてで、天文学の新時代につながる未曽有の発見と位置付けている。

発表によると、この現象は8月17日に宇宙望遠鏡と地上の望遠鏡がとらえた。観測施設のLIGOとVirgoが世界中の天文台に連絡を取って信号の出所を突き止める研究に乗り出し、詳しい研究を続けてきたという。論文や記者会見には数千人の研究者が名を連ねている。

重力波が初めて直接的に観測されたのは2年前。これによってアインシュタインの相対性理論が実証され、研究チームはノーベル物理学賞を授与されている。

この時の重力波は2つのブラックホールの衝突によるもので、持続時間はわずか1秒ほどだった。ブラックホールは光を放出しないことから重力波は目に見えず、衝撃音が「聴こえた」にすぎなかった。

一方、今回の中性子星の衝突では、重力波に加えて光が放出され、新しい方法で重力波を研究することが可能になった。信号は100秒間持続したことから、詳しいデータを解析でき、光と重力波が同じ速度で伝わることも分かった。

LIGOの研究者は、過去の重力波の観測を窓のない部屋の中で雷の音を聞くような状態にたとえ、この状態では雷の音しか聞こえなかったのに対し、今回は窓のある部屋で雷を体験しているような状態だと説明。

「宇宙物理学に与える影響は、白黒の静止画を見ていた状態から、3DのIMAX劇場での鑑賞に切り替わったようなもの」(LIGO広報のローラ・カドナティ・ジョージア工科大学教授)とたとえている。

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