実験用チンパンジーに「引退勧告」 利用中止の動き加速 米

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(CNN) 医薬品開発などを目的とした実験用チンパンジーの利用を中止する動きが全米で加速している。米国立衛生研究所(NIH)の作業部会は1月にまとめた報告書で、米政府の助成で飼育されている実験用チンパンジーの大半を「引退」させ、保護区で余生を送らせるよう勧告した。

作業部会の共同議長によると、技術の進展により、かつてはチンパンジーでしか対応できなかった課題に、チンパンジー以外の動物や、動物を使わないシステムでも対応できるようになった。報告書は60日のパブリックコメント期間を経て、そのままの形で受け入れるかどうかをNIHのコリンズ所長が判断する。

勧告の対象となるのは、現在NIHが保有しているチンパンジー360頭。これとは別に、テキサス州サンアントニオにある生物医学研究用の91頭についてもNIHが補助金を出しているが、こちらについてはNIHが引退させることはできないという。

NIHが保有するチンパンジーは、これまでに219頭が引退して保護施設などで暮らしている。報告書は、引退させるチンパンジーの飼育環境についても提言し、直ちに計画に着手するよう促した。ただしチンパンジーを使った研究の全面的な中止には踏み切らず、約50頭は必要になった場合に備えて確保しておくべきだとした。

チンパンジーは約99%のDNAがヒトと一致することから実験や研究に使われてきたが、米医学研究所は2011年12月の報告書で、研究用のチンパンジーに関して予想されるニーズはほとんどないと指摘していた。ただしC型肝炎のワクチン開発と、がん性腫瘍の治療法開発は例外とした。

NIHはこれを受けて作業部会を設置し、提言を実行に移す方法について検討していた。

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