米中、関税引き上げの一時停止で合意 90日間延長
(CNN) トランプ米大統領が11日に署名した大統領令によると、米国と中国は互いの製品に対する関税引き上げを90日間一時停止することで合意した。合意に至らなければ関税は即座に急上昇し、世界の二大経済大国間の貿易を事実上封鎖していた超高水準に逆戻りするリスクがあった。
CNBCが最初に報じたこのニュースは、米東部時間12日午前0時1分の期限の数時間前に飛び込んだ。期限が過ぎていれば中国製品への関税が30%から54%に引き上げられる予定だった。米国からの輸出品に対する中国の関税も10%から34%に戻るとみられていた。
中国は米国との共同声明で、90日間の関税引き上げ延長を確認し、この期間中、米国製品に課している10%の関税を維持すると述べた。この声明は、先月スウェーデンで行われた二国間交渉に基づいていると中国側は述べている。
これに先駆け、トランプ氏は世界中の貿易相手国に対し、一連の「相互」関税を課してもいた。これにより米国の実効関税率は大恐慌以来の水準にまで上昇している。
米国にとって第2位の輸入元である中国製品への関税引き上げは、多くの米企業や消費者が負担することになる、あるいは既に負担しているコストをほぼ確実に引き上げていたと考えられる。
先月スウェーデンで会談した後、中国の交渉担当者は両国が合意に達したと述べていた。しかし、会談に出席したベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表は、トランプ氏の発言がなければ何も確定していないと反論した。
「どうなるか見守ろう。彼らは非常にうまく交渉を進めている。習近平(シーチンピン)国家主席と私との関係は非常に良好だ」と、トランプ氏は11日に述べた。
ベッセント氏は先月、中国貿易当局者らとの会談の最後に、ロシア産原油の購入を継続すれば、トランプ氏が最大500%の関税を課すことを認める議会の法案に基づき、巨額の関税が課される可能性があると中国側に対し警告したと述べた。
政権がこうした脅しを強める用意がまだ整っていないのかどうかは明らかではない。トランプ氏は最近、インドに対し、中国よりははるかに少ないとはいえ、ロシア産原油購入を今月末まで継続すれば50%の関税を課すと警告した。
ロシア産原油を購入する他の国ではなくインドだけに制裁を科すというこの動きは、インド政府から広く批判されており、インド政府は不当に標的にされていると主張している。トランプ氏は、さらに多くの国が同様の脅しに直面する可能性があると示唆した。
また、週末のFOXニュースのインタビューで、バンス副大統領は、トランプ氏はまだ決定を下していないものの、中国に対するそのような関税は検討中であると述べた。
「中国との何らかの合意、ひいては習氏とトランプ氏の会談が実現するように見える現状を踏まえると、政権はここ数週間、中国に対してより融和的な姿勢を示していることは明らかだ」と、元米国貿易交渉官で現在はアジア・ソサエティー政策研究所副所長を務めるウェンディ・カトラー氏は述べた。
もし中国が米政権のロシア産原油購入停止の意向に屈するとしても、それはトランプ氏がソーシャルメディアで発表するような形ではなく、「静かに、そして段階的に」行われるだろうとカトラー氏は付け加えた。