ウォール街、トランプ氏の関税通知をはったりと見抜く 「TACOチューズデー」とアナリスト
ニューヨーク(CNN) トランプ米大統領は貿易戦争の再開を示唆している。しかし、ウォール街はさほど懸念していない。
トランプ氏は7日に関税措置を強化したが、8日の世界市場は比較的落ち着いていた。同氏が関税の発効期限を8月1日まで延長し交渉に応じる姿勢を示したことで、投資家が楽観視したためだ。
東京、ソウル、香港、ムンバイを含むアジア全域の株式市場は8日に上昇。米国株の反応はまちまちで、ダウ工業株平均は166ポイント(0.37%)下げ、S&P500指数は0.07%下落。ハイテク株中心のナスダック総合指数は0.03%の上昇にとどまった。
比較的穏やかな市場の動きからは、投資家がトランプ氏の新たな関税について強硬な政策というよりも交渉戦術と捉えていることがうかがえる。これは、同氏が「解放の日」として発表した関税が株価を急落させた4月初旬とは明らかに異なる状況だ。
トランプ氏が大規模な「相互」関税を発表し、その後90日間の猶予措置を導入してから3カ月が経ち、ウォール街は関税に関する言説を見抜いている。
IGオーストラリアの市場アナリスト、トニー・シカモア氏は今回の関税をめぐる一連の報道について、「解放の日」の市場を揺るがした激震というよりも、むしろ余震のようなものだと指摘。市場は覚悟していたと述べた。
トランプ氏は8日、SNSで、8月1日の期限以降の「延長は認められない」と述べた。
7日遅くにはホワイトハウスで記者団に対し、8月1日の期限は「確定しているが、100%確定ではない」と述べていた。
トランプ氏は、関税に関する通知は「事実上」最終提案だと述べた。「最終と言うが、もし相手側が別の提案を提示し、私がそれを気に入れば、それに応じる」と述べた。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの債券部門責任者、カート・レイマン氏は、「7日の書簡や関税に関する投稿は、脅威としては同じだがゴールポストが違うと捉えている」と述べた。
投資家はここ数週間、「TACOトレード」を採用している。トランプ氏は大規模関税をちらつかせても、特に市場に反発が見られる場合には、「常に尻込み(Trump Always Chickens Out)」すると見込んでいるのだ。
シカモア氏は、「今回は、トランプ大統領流『TACOチューズデー』の再来となる可能性がある」と述べた。