英労働者の実質賃金、過去20年間で最大の減少 インフレ影響で

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食料品やエネルギー価格の高騰で賃金が目減りしている/Joos Mind/The Image Bank RF/Getty Images

食料品やエネルギー価格の高騰で賃金が目減りしている/Joos Mind/The Image Bank RF/Getty Images

ロンドン(CNN Business) 英国の労働者は過去20年あまりで最大の賃金目減りに苦しんでいる。高騰する食料とエネルギー価格が支出の大きな割合を占めるようになっている。

英国家統計局(ONS)が19日に発表したデータによると、3~5月の実質賃金(インフレを考慮した労働者の賃金)は昨年同時期と比較して2.8%減った。

これは、ONSが2001年に調査を開始して以来、最大の減少率だ。

今月初め、ジョンソン首相が辞任を表明し、現在後任選びが進んでいるが、同国は経済・財政上の困難な問題に直面している。

ロシアのウクライナ侵攻によって悪化した世界のエネルギーと商品価格の上昇は、数カ月にわたって世界のインフレ要因となっている。世界第5位の経済大国である英国は、富裕国の中で最も大きな打撃を受けている国の一つだ。

英国の消費者物価指数は5月に40年ぶりの高水準となる9.1%上昇を記録し、主要7カ国(G7)の中で最高となった。一連の利上げにもかかわらず、今年後半には11%超に上昇すると予測されている。

そして、家計はその負担を実感している。高騰する光熱費や食料費が、英国人をここ数十年で最悪の生活費危機に陥れている。イングランド銀行は可処分所得が今年、1964年の調査開始以来2番目に大きな減少に見舞われると予測している。

英調査会社カンタールが19日に発表したデータによると、食料品のインフレ率は7月10日までの4週間で10%近くに達した。英国人は今年、食料品や必需品に454ポンド(約7万5000円)余計に費やすと予想される。

英エネルギー調査会社コーンウォール・インサイトによると、4月に54%上昇したエネルギー料金は、政府による価格上限の改定が行われる10月以降、多くの世帯で年3000ポンド(約50万円)を超えると推定されている。

ジョンソン政権はエネルギー料金の支払いに苦しむ多くの国民を救済するために、一世帯あたり400ポンドの補助金を約束。先月、エネルギー価格上昇で高まる石油・ガス会社の利益に50億ポンド課税することも発表した。

高インフレとダメージの大きな欧州連合(EU)からの離脱が相まって、英国の成長が損なわれつつある。経済協力開発機構(OECD)は先月、英経済が停滞に向かい、来年の国内総生産(GDP)はゼロ成長になると予測した。G7で最悪となる見込みだ。

ポンドもまた今年打撃を受け、対米ドルで11%下落しており、商品の輸入がこれまでより割高になる可能性が高い。

しかし1つだけ明るい材料がある。ONSの速報データによると、先月は雇用が順調で、就業者数は前年同月比3%増だった。

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