「経験したことのない痛み」　食品試食のインフルエンサーに健康被害続出、胆嚢摘出も

２０１６年に創業したデイリー・ハーベストは、ＳＮＳを使った積極的なキャンペーンで有名になり、テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手などのセレブにも支持されていた。

救急センターに搬送されたシルバースタインさんの場合、当初疑われた肝炎の検査は全て陰性だったという。しかし血液検査の結果、肝酵素値が異常に高いことが判明。肝酵素の値は正常値の１２倍に達していた。

この時点で原因は不明だったが、仲間のインフルエンサーのルーク・ウェスリー・ピアソンさんの投稿を妻が発見。ピアソンさんが伝えていた症状は、シルバースタインさんの症状と驚くほど似ていた。２人とも、一般に販売される前の商品をデイリー・ハーベストから受け取っていた。

ピアソンさんがＣＮＮ Ｂｕｓｉｎｅｓｓ に語ったところによると、同商品を試食した後に胃腸疾患に見舞われ、今月１２日に胆嚢を摘出する緊急手術を受けた。

問題の食品は２回試食して２回とも強い腹痛を起こし、２回目に緊急治療室に搬送されたという。「拷問されるような」腹痛や発熱、悪寒、手足の痛み、黄疸（おうだん）などの症状に見舞われて検査を受けた結果、シルバースタインさんと同様に、肝酵素の値が上昇していることが判明。ビリルビン値も上昇しており、最終的に医師の判断で胆嚢摘出の手術を受けた。

ピアソンさんの場合、症状が表れる直前に食べた食品が原因かもしれないと気づいたのは、ティックトックで人気のアビー・シルバーマンさんの投稿を見たことがきっかけだった。シルバーマンさんも同じ食品を試食して緊急治療室に２回入院し、肝酵素値が異常に高かった。１９日にデイリー・ハーベストから届いたメールでこの食品が原因だったことを確認し、レディットで検索したところ、同じような症状を訴える人が大勢見つかったという。

「私がこの動画を制作したのは、事態を周知させるための同社の努力が不十分だと感じたからだ。まだ冷凍庫にあの商品が入っている人たちがいると思う」とシルバーマンさんは危惧する。

やはり胆嚢を摘出することになったというキャンディス・スミスさんはＣＮＮ Ｂｕｓｉｎｅｓｓに対し、問題の食品を食べて「心臓発作を起こしたのかと思った」と回想。病院に運ばれた夜は「私の人生で最悪の夜だった」と振り返った。病院には４日間入院して肝臓の肥大と肝酵素値の上昇に関する検査を受け、１９日に胆嚢の摘出手術を受けた。

デイリー・ハーベストは、同社の食品に関連して胆嚢摘出の手術を受けたという利用者の訴えについて、コメントを避けている。ＣＮＮ Ｂｕｓｉｎｅｓｓの取材に応じた人は全員が、自分の症状に関して最初は医師にも原因が分からなかったと証言している。

米食品医薬品局（ＦＤＡ）は、調査が行われているかどうかは肯定も否定もできないとしたうえで、「食品への異物混入が疾病や傷害を引き起こした可能性があるという報告を深刻に受け止めている」とコメントした。