職場での女性差別問題、「三人っ子政策」で悪化の恐れ 中国

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
中国政府は採用時の女性に対する差別を禁止しているが、差別的な慣行は続いている/Liu Qinli/VCG/Getty Images

中国政府は採用時の女性に対する差別を禁止しているが、差別的な慣行は続いている/Liu Qinli/VCG/Getty Images

中国政府は19年に、女性に結婚歴や出産に関する質問をするなど、採用過程で女性に対して行われるさまざまな差別的措置を禁じる指令を出したが、企業の女性差別は今も続いている。

成都の企業の人事課に勤めるチャンさんも、求職活動中、企業の採用担当者に政府の禁止令について繰り返し説明したが、彼らは結婚や出産に関する質問をやめようとはしなかったという。

チャンさんは、産休の費用を負担しなくてはならない企業がそのような質問するのは理解できるとした上で、政府は従業員に産休手当を支払う企業を助成すべきと主張する。

「出産は単なる個人の問題ではなく、政府を含め社会全体で支えるべきなのに、政府は個人や企業に出産に伴うすべての費用を負担させている」(チャンさん)

文化的変革の必要性

中国には多くの差別禁止法が存在するが、個別のケースに適用すべき法規が存在しないケースも多く、それが、女性差別が続いたり、女性が正義の追求を思いとどまったりする要因になっているとHRWの報告書は指摘している。

例えば、女性の権利と利益の保護に関する法律は、企業が女性従業員の妊娠・産休中の解雇や減給を禁止しているが、法の執行に関する規定はほとんどない。

また、労働契約法は違法な解雇に対する補償について規定しているが、被害者の女性は、解雇の理由があくまで女性の妊娠であり、会社の業績不振といった他の理由ではないことを証明しなくてはならない。

またHRWの報告書によると、訴訟は長期に及ぶ上に手続きが面倒なことが多く、勝訴しても勝ち取れる補償は一般に少額であることから、被害者はわざわざ訴訟を起こす価値はないと感じる可能性もあるという。また雇用主から報復されるかもしれないという恐れが女性に不服申し立てや提訴を思いとどまらせる要因になっており、実際、雇用主が名誉毀損(きそん)で元従業員を訴えたケースもいくつか存在する。

報告書を作成したHRWのチームは、中国政府に対し、既存の法律の改正、差別的な雇用者に対する罰則の強化、出産に関する要件を記載した求人広告の禁止、女性に在宅や出産を促すプロパガンダの停止を求めた。

しかしチェン氏は、制度改革だけでは不十分で、文化的変革も必要と主張する。

チェン氏は「(中国の)企業と政府は、子どもを持つか否かは個人の自由と考えているが、子どもは私的財ではなく公共財である」とし、「子どもを持つ家庭を支援するのは政府の責務だ」と付け加えた。

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]