ANALYSIS

利益と道義の間で揺れる多国籍企業、中国の人権問題めぐり

中国市場に参入した多国籍企業が、中国での人権問題などをめぐり、「利益と道義のどちらを優先すべきか」という難しい選択を迫られている/Kevin Frayer/Getty Images

中国市場に参入した多国籍企業が、中国での人権問題などをめぐり、「利益と道義のどちらを優先すべきか」という難しい選択を迫られている/Kevin Frayer/Getty Images

(CNN Business) 長年、中国でビジネスをしたい企業は、成功を求めて多くの妥協を図ってきた。しかし、各国間で人権をめぐる論争が激しさを増す中、欧米企業の幹部らは「利益と道義のどちらを優先すべきか」という難しい選択を迫られている。

米国、欧州連合(EU)、英国の当局は、中国政府が新疆ウイグル自治区で強制労働、大量拘束、強制不妊によってウイグル族やその他の少数民族を抑圧していると非難している。この新疆ウイグル自治区における人権侵害をめぐる欧米・中国間の緊張により、ここ数カ月間でより多くの企業や貿易関係が困難な状況に追い込まれている。

中国政府は、人権侵害に関するこれら全ての疑惑を強く否定しており、同自治区内の収容所は、テロや宗教的過激思想対策を目的とした「職業訓練センター」だと主張している。しかし、3月末にEUと中国の間でこの問題をめぐり制裁の応酬が展開され、その後、欧州議会は、昨年末にEUと中国との間で原則合意に至った包括的投資協定(CAI)の承認に向けた審議を先送りした。

その数日後、スウェーデンのH&M、米ナイキ、独アディダス、その他の欧米の小売業者が、新疆ウイグル自治区で強制労働により綿が生産されているとの疑惑に反対の態度を表明したため、中国でそれらの企業に対するボイコット運動が起こった。

中国政府は、多国籍企業が中国で事業を行いたいなら同国の規則に従う必要があり、さらに中国政府の後押しを得るには、制限的な規制を順守したり、中国に好意的な発言をしたりするなどの努力が求められると明言してきた。そして従来、多くの企業が中国の意向に沿うよう努めてきた。それだけ中国は多くの企業にとって魅力的な市場だった。

しかし、そんな欧米企業の姿勢に対する政治的反発が強まっており、今後、そのような欧米企業と中国の関係の一部が維持できなくなる恐れもある。中国が新疆をめぐり自国の市民を国家主義的熱狂に駆り立てているように、欧米の顧客や議員、投資家らは企業に対し、人権侵害の証拠がないか各社のサプライチェーン(供給網)を徹底的に調査するよう圧力を強めている。そのため欧米企業は、欧米と中国のどちらの側につくのかの選択を迫られつつある。

コンサルティング会社APCOワールドワイドの中華圏部門担当会長ジェームズ・マクレガー氏は「欧米企業は(欧米と中国の間で)板挟みの状態にあるが、事態を打開するための特効薬はない」と語る。

マクレガー氏は「恐らく中国は欧米の制裁に大きな脅威を感じ、全力で反撃することにより制裁を緩和、撤回するよう企業から政府に圧力をかけさせようとしているのだろう」との見方を示した。

困難だが極めて重要な市場

外国企業は、今や世界第2位の経済大国である中国を無視することはできない。拡大する中国の中間層は多くの企業にとって豊かな消費者市場だ。

しかし、中国市場への参入は非常に厳格なことで知られており、参入を許される企業の選考や中国内で認められる事業内容の決定に関して大きな権限を持つ中国の規制当局を納得させる必要がある。

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