(CNN) ロシアによるウクライナへの侵攻が続く中、同国からの出国を試みる外国人学生たちが、ウクライナの治安および出入国管理当局によって差別的な扱いを受けていると訴えている。
リビウで暮らすナイジェリア人医学生のレイチェル・オニェグブルさんはCNNに対し、自分たち外国人学生は、ウクライナ・ポーランド間の国境検問所で公共交通機関のバスから降りるよう命じられたと証言。ウクライナ人のみを乗せたバスが出発する中、身を引くよう指示されたという。
オニェグブルさんはキエフから約650キロ離れた国境の町シェヒニで立ち往生してしまった。
「10台超のバスがやってきて、私たちは皆が出国していくのを見ていた。彼らはウクライナ人全員を連れ出した後に、私たちを連れて行くと思ったが、歩いていかなければならないという話だった。バスはもうないと言われ、歩くよう命じられている」と、オニェグブルさんは説明。
「私の体は寒さで感覚がなくなってしまい、今のところ約4日間も寝てない。現時点では、男性も女性も、ウクライナ人がアフリカ人よりも優先されている。私たちはなぜかと問う必要もないし、なぜかは分かっている。ただただ家に帰りたい」と話した。
オニェグブルさんによると、先月28日未明にやっと、出国の書類に判を押してもらったという。
暴力のうわさも
インド人医学生のサークシ・イジャントカルさんもまた先月28日、ウクライナ西部リビウから電話を通してCNNの取材に応じ、自身が味わった試練を話してくれた。
「国境に達するために私たちが通過する必要のある検問所は、3カ所あった。そこでは多くの人たちが立ち往生していた。インド人は通過が認められなかった」と述べた。
CNNは検問所を運営する人々の身元や所属を確認できなかったが、イジャントカルさんによると彼らは全員、制服を着用していたという。
イジャントカルさんはCNNに対し、「ウクライナ人500人が入域した後になって初めて、インド人30人に許可を与えた。国境に至るためには、最初の検問所から2番目の検問所までの4~5キロを歩く必要がある。ウクライナ人には移動のためにタクシーやバスが提供される一方、他の全ての国々の人々は歩く必要があった。彼らはインド人や他の国々の人々に対して、非常に人種差別主義的だ」と話した。
またイジャントカルさんは、国境地点のウクライナ側で待機する学生たちに対する、国境警備隊による暴力を目撃したという。
「エジプト人の男性が柵に手を掛けて最前列に立っていたが、そのせいで警備隊員が彼をとても強い力で彼を押し、この男性は刺で覆われたフェンスにぶつかって意識を失った」と、イジャントカルさんは説明。
「私たちは彼を屋外に連れ出し、心肺機能蘇生を施した。彼ら(警備隊員たち)は気にもせず、学生たちを殴り続けていた。私たちを全く構うことなく、ウクライナ人だけを気に掛けていた」と訴えた。
CNNは暴力沙汰に関する主張を考慮し、ウクライナ軍を取材したものの、これまでのところ返答はなかった。
ウクライナは医学のカリキュラムおよび学費に関する高い評価を得ており、また他の西側諸国における留学よりも諸経費がはるかに低額であるため、医学を学ぶために留学を希望する数多くの外国人学生を引き付けている。
ウクライナ出国目指す外国人学生ら、国境で差別的扱い訴え