サウジ、中国支援で自前の弾道ミサイル製造 米諜報と衛星画像で判明

米情報機関はサウジアラビアが中国から支援を受けて弾道ミサイル製造を行っているとみている/Planet/Middlebury Institute of International Studies

2021.12.24 Fri posted at 10:53 JST

ワシントン(CNN) 米情報機関がサウジアラビアについて、中国の支援で自前の弾道ミサイルの製造を進めていると分析していることが分かった。この動きは中東全域に重大な影響を及ぼし、サウジの地域最大のライバル、イランの核開発の野心を抑え込もうとするバイデン政権の取り組みを複雑化させる可能性がある。

サウジは過去に中国から弾道ミサイルを購入したことが知られているものの、最新の諜報(ちょうほう)に詳しい情報筋3人によると、これまで自国生産には至っていなかった。CNNが入手した衛星画像でも、サウジが少なくとも1カ所で弾道ミサイル製造を進めていることが示唆されている。

国家安全保障会議(NSC)などの米当局者はここ数カ月の機密情報ブリーフィングで、中国・サウジ間で弾道ミサイル関連の機微技術の大規模移転が複数回行われたとの説明を受けたという。事情に詳しい情報筋2人が明らかにした。

バイデン政権はいま、サウジの弾道ミサイルの進展が地域の勢力関係を大きく変化させる可能性について差し迫った問いに直面している。欧米やイスラエル、湾岸諸国はイラン核合意の条件を拡張してイランのミサイル技術を制限する目標を掲げているが、こうした取り組みが複雑化する可能性もある。

イランとサウジは敵対関係にあるため、サウジが自前のミサイル製造に着手した場合、イランが弾道ミサイル開発の中止に応じる可能性は低い。

米ミドルベリー国際問題研究所の教授を務める兵器の専門家、ジェフリー・ルイス氏は「イランの大規模な弾道ミサイル計画には大きな注目が集まっているが、サウジによる弾道ミサイルの開発と生産はそこまでの精査は受けていなかった」と指摘する。

サウジアラビアを写した衛星画像。弾道ミサイル製造のための処理施設が写っているとみられている

また、中国への外交的配慮によって米国の対応が複雑化する可能性もある。バイデン政権は気候や貿易、新型コロナウイルスの流行など、他の優先度の高い政策で中国との再関与を試みている。

米国家安全保障会議と中央情報局(CIA)はコメントを控えた。

中国外務省報道官はCNNへの声明で、サウジとの間で弾道ミサイル関連の機微技術移転が最近行われたかとの質問に対し、両国は「包括的な戦略パートナー」であり、「軍事貿易を含む全分野で友好的な協力を維持してきた」と説明。「こうした協力は国際法に違反しておらず、大量破壊兵器の拡散も行われていない」としている。

専門家や情報筋によると、CNNが入手した新たな衛星画像からは、中国の支援で以前建設された施設でサウジがすでに弾道ミサイル製造を進めていることがうかがえる。

ミドルベリー国際問題研究所の研究者らによると、商業衛星画像企業プラネットが10月26~11月9日に撮影した画像には、サウジのダワドミ付近の施設で燃焼運転が行われた様子が捉えられている。研究者らはCNNに対し、この写真は「施設がミサイル製造を目的に稼働している初の明白な証拠だ」と指摘した。

サウジ、中国支援で弾道ミサイル製造 米諜報分析

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