「米ハーバード大学がアジア系を差別」 歴史的裁判、冒頭陳述開始

米ハーバード大学のアファーマティブ・アクション制度に反対する裁判が始まる/Harvard University News Office/Harvard University News Office/Harvard University News Office

2018.10.15 Mon posted at 17:20 JST

ボストン(CNN) アジア系米国人の学生団体が入試で不当な扱いを受けたとして米ハーバード大学を提訴した裁判で、15日から米連邦地裁で冒頭陳述が始まる。この裁判は、アフリカ系やラテン系の学生を優遇してきたアファーマティブ・アクション制度に反対する保守派が後押ししており、全米の大学に影響を与えることも予想される。

アファーマティブ・アクションは、多様な人種の学生を入学させる目的で導入された制度。保守層の狙いは、同制度を支持した1978年の最高裁判決を覆すことにある。

今回の裁判では双方とも、いずれ最高裁に持ち込まれることを予想している。最高裁は、保守系の判事がトランプ大統領に指名された2人を含めて5人になり、1978年の判決が覆される可能性もある。

原告の公正な入試を求める保守系の学生団体は、ハーバード大学を相手取って2014年11月に訴えを起こした。同大が行った不当な「人種バランス調整」によって、アフリカ系とヒスパニック系の合格率が高まる一方、アジア系の学生の合格率は低くなったと訴えている。

アジア系の中には、他の志願者よりも高い点数を取らなければ有名大学には合格できないという不安を抱く学生もいる。ただ、アジア系の学生といっても経歴や学歴はさまざまで、入試で人種を考慮する制度は一切やめるべきだという主張を支持する意見もあれば、多様性を追求する目的で人種を考慮するハーバード大学の立場を支持する意見もある。

双方とも決着は最高裁に持ち込まれるとの見方を示している

トランプ政権は原告側の公正な入試を求める学生団体を支持。裁判とは別に、教育相と司法省はアジア系団体から寄せられた苦情に基づいて、ハーバード大学のアファーマティブ・アクションをやり玉に挙げていた。

ハーバード大学は、アジア系の学生の合否判定に関して人種に基づく調整や制限を行ったことはないと主張。人種の多様性を追求する取り組みは教育的使命の一環だと強調し、選考過程では学業や課外活動、才能、人格、社会的・経済的背景や人種などを総合的に評価するとしている。

今回の裁判は、連邦政府の助成を受けた民間機関による人種差別を禁じた法律に基づいて、米連邦地裁に起こされた。担当するアリソン・バローズ裁判官は、オバマ前大統領によって2014年に指名された。

15日には双方が冒頭陳述を行う予定で、バローズ裁判官によると、審理は約3週間におよぶ見通し。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。