気候変動でドミノ現象、地球「温室」化の新たな警告

地球が「ホットハウス(温室)」状態に陥る危険性があるとの報告書が発表された/David McNew/Getty Images North America/Getty Images

2018.08.08 Wed posted at 19:26 JST

(CNN) 地球の気候変動が続いて産業革命後の気温上昇が2度を超えると、ドミノ倒しのように次々と異変が起き、地球は「ホットハウス(温室)」状態に陥る――。オーストラリアやデンマークの国際研究チームがこのほど、新たな警告を発した。

チームの論文は6日発行の学術誌、米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されている。地球が「完新世(かんしんせい)」と呼ばれる地質時代から、人間の活動に直接影響される新たな時代「人新世(ひとしんせい)」に移っているという学説に基づき、「人新世における地球システムの軌跡(仮訳)」というタイトルが付けられた。

論文によると、ホットハウス状態に陥った地球は、産業革命前より4~5度高い気温に落ち着く可能性がある。

チームを率いるオーストラリア国立大学のウィル・ステッフェン博士によれば、気温を決定づける要因は温室効果ガスだけではない。

産業革命後の気温上昇が2度に達すると、それ自体が引き金となって気温がさらに上昇し、たとえ温室効果ガスの排出が止まっても歯止めがかからなくなるという。

気温が上昇した結果、海面は最大で60メートルも上昇し、沿岸部の住民は内陸への移動を強いられる。

この一線を超えて後戻りができなくなった場合、地球の気温は過去120万年間のどんな時代よりはるかに高くなり、海面も1万2000年前に完新世が始まってから最も大きく上昇することが予想される。一部の地域は人の住めない環境になるだろう。

論文の共同執筆者、コペンハーゲン大学のキャサリン・リチャードソン博士はCNNとのインタビューで「気温が4~5度、海面が10~60メートルも上がったら、我々の社会はその変化に耐えられない」と指摘。「このシナリオを避けるには、人間の活動を地球システムの搾取から管理へと切り替える必要がある」と語った。

ドミノ倒しを防ぐためには、世界経済を化石燃料から脱却させる「脱炭素化」や、大気中から温室効果ガスを取り除く「二酸化炭素吸収源」の強化、行動の変容や技術革新、新たなガバナンスの仕組みなど、あらゆる方面での取り組みが不可欠だ。

リチャードソン博士はこの論文について、破滅の預言ではなく、行動を起こせば最悪の事態は回避できるとの希望を与える内容だと主張。「知識は力だ。多くを知れば知るほど、自分たちにとって良い結果へと導ける可能性が高くなる」と強調した。

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