「心臓なし」で555日、臓器提供待ち続けた男性が手術 米

ドナーを待つ間、男性は人工心臓の力を借りて普段通りの生活を送っていたという

2016.06.13 Mon posted at 15:06 JST

(CNN) 重い心臓疾患のために心臓を摘出され、人工心臓で1年半以上も日常生活を送ってきた米ミシガン州の男性が、5月に移植手術を受けて今週中にも退院できる見通しとなった。

スタン・ラーキンさん(25)は2014年11月に心臓摘出の手術を受けた。今年5月にドナーが現れてミシガン大学病院で移植手術を受けるまでの555日間、背中に背負ったバックパックの中の人工心臓が生命を支え続けた。

バスケットボールをしていて突然倒れ、遺伝性心臓疾患の家族性心筋症と診断されたのは9年前。間もなく弟のドミニクさん(24)も同じ疾患を持つことが分かった。

2人ともやがて心不全に陥り、心原性ショックを発症して2014年に人工心臓を装着された。ドミニクさんは6週間後に心臓移植手術を受けることができた。

一方、ラーキンさんは人工心臓の具合が良く、退院して自宅で過ごすことを許されたという。ミシガン州では初めてのケースだった。

「体内に心臓がない状態で生きられると医師に言われ、機械が自分の心臓になると聞かされた時はショックだった」とラーキンさんは振り返る。

移植用の臓器が入った容器。全米では約4000人の患者が心臓移植を必要としている

シンカーディア製の人工心臓「フリーダム・ドライバー」は重さ約5.9キロ。ラーキンさんの左胸部の下から伸びる2本の管で体に接続され、圧縮空気を心室に送り込んで体内の血液を循環させていた。

ラーキンさんはバックパックを背負ったままバスケットボールを楽しんだり、自分の子どもたちと過ごしたり、友人たちと車で出かけたりしていたという。

「本物の心臓と変わらない」とラーキンさんは言う。「心臓がバッグの中にあって、自分から管が突き出ているというだけ。でもそれ以外は本物の心臓のように感じられて、教科書が入ったバックパックを背負っている感じだった」

世界で初めて内蔵型の人工心臓が患者に装着されたのは2001年。この手術にかかわったルイビル大学のラマン・グレイ医師はラーキンさんの症例について、人工心臓が以後どれほど進歩してきたかを物語ると解説する。

米臓器移植ネットワークによると、全米で心臓移植を待つ患者は約4000人に上る。末期状態の心不全に陥って、腎臓や肝臓など他の臓器不全に至る患者も少なくない。その多くは、人工心臓のようなサポートを受けられないまま死亡しているという。

人工心臓背負い、病院外で生活

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