スレブレニツァ(CNN) ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中にイスラム教徒数千人が虐殺された東部スレブレニツァで、事件から20年がたった11日、外国の代表者らを迎えて追悼式典が行われた。出席したセルビアのブチッチ首相が群衆から石や瓶を投げ付けられ、退場を余儀なくされる場面もあった。
事件ではセルビア人勢力が「民族浄化」の一環として、1995年7月11日から3日間のうちにイスラム教徒の男性7000人以上を殺害したとされる。これをきっかけに北大西洋条約機構(NATO)が大規模な空爆を開始し、セルビア人勢力を降伏に追い込んだ。
この日の式典は、約6000人の犠牲者が眠る墓地の近くで開かれ、米国のクリントン元大統領をはじめ外国の要人ら数千人が集まった。墓地には、最近発見された136人の遺骨が新たに埋葬された。
ブチッチ首相も墓地参拝に加わろうとしたが、「神は偉大なり」と叫ぶ集団から投石を受け、警護要員に誘導されて避難。車に乗り込んで走り去った。
首相本人が帰国後、記者団に語ったところによると、石が口に当たったが大きなけがはないという。「セルビアとボスニアの間に友情を築こうとした私の意図が、一部の人々に伝わらなかったことを残念に思う」と述べた。
式典に出席していた欧州連合(EU)のモゲリーニ外務・安全保障上級代表(外相に相当)はツイッターを通し、ブチッチ首相が出席を決めたこと自体を「歴史的選択」として支持すると表明。「平和は和解の上にのみ築かれる」と強調した。在ボスニア・ヘルツェゴビナ米大使館も、投石行為を非難する声明を出した。
事件は旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷と国際司法裁判所(ICJ)により、ジェノサイド(集団虐殺)だったと認定されている。
しかし国連安全保障理事会では先週、ジェノサイドという表現を使って事件を非難し、迅速な裁判を促す決議案が、セルビアの友好国であるロシアの拒否権行使で否決された。