14歳で誘拐、監禁 被害者女性が体験記を執筆 米

エリザベス・スマートさん

2013.10.10 Thu posted at 09:00 JST

(CNN) 11年前に米ユタ州ソルトレークシティーの自宅寝室から誘拐され、約9カ月間にわたって監禁された女性がこのほど体験記を執筆し、CNNのインタビュー番組で事件を振り返った。

エリザベス・スマートさん(25)はインタビューで、著書「My Story」について「私に何が起きたのか、事実を100%書いた」と話した。「10%だけ書いて残りを砂糖で包むようなことはしたくなかった。だれのためにもならないから」と説明する。

執筆の動機となったのは、18歳未満の少女の4人に1人、少年の6人に1人が性的虐待を受けているという事実だった。「被害者の人たちに、こう呼びかけたい。起きてしまったことに一生縛られる必要はない、前を向いて幸せになっていいんだと」――スマートさんはそう語る。

スマートさんは14歳だった2002年6月、自宅の寝室から誘拐された。「私にとって寝室は最も安全な場所だった。だから夜中に目覚め、見知らぬ男が刃物を私の首に当てていることに気付いた時は本当に恐ろしかった」と振り返る。男は後に終身刑を言い渡される自称「説教師」、ブライアン・ミッチェル受刑者だった。

スマートさんは約9カ月間にわたって監禁された

スマートさんは命じられるまま起き上がり、ミッチェル受刑者について家を出た。同受刑者は耳元で「物音を立てたり注意を引き付けるようなことをしたりしたら、おまえだけでなく止めに入った者も殺す」とささやいた。

家を出てから何時間も歩いた。スマートさんは途中でミッチェル受刑者に「私をレイプして殺すならここでやって」と声をかけた。「両親には、私が自分の意思で家出したのではないことを知ってほしかったから」だという。しかし同受刑者は「まだレイプしないし、殺しもしない」と答えた。「捕まったら残りの人生を刑務所で過ごすことになるでしょう」と言うと、「分かっている。だが捕まることはない」との返事が返ってきたという。

やがてたどり着いたのは山の中腹のキャンプだった。そこではミッチェル受刑者の妻、ワンダ・バージー受刑者がスマートさんを迎えて抱きしめた。まるで「あなたは私のもの、指図どおりにしなさい」と言っているようだったと、スマートさんは振り返る。

この日から、ミッチェル受刑者による絶え間ない性的虐待が始まった。それから9カ月間、空腹を抱えたまま、果てしなく続く同受刑者の身の上話を聞かされ、1日に何度もレイプされる生活が続いた。飲酒を強要され、嘔吐(おうと)したまま気を失って、汚物まみれで目が覚めたこともある。「これがどん底だと思うたび、さらに悪いことが起きた」という。

「第三者が子どもや被害者を批判するのは間違っている」とスマートさんは語る

03年3月にスマートさんが保護された時、「なぜそれまで自力で脱出しなかったのか」「刑事に声をかけられた時、なぜ誘拐されたと訴えなかったのか」と問い掛ける声が上がり、さまざまな憶測が飛び交った。

スマートさんは「何も知らない第三者が子どもや被害者を批判するのは間違っていると思う。私はまだ14歳だったし、あの男が私自身の誘拐と監禁、レイプを成功させるのを目の当たりにしていた。かれが私を、あるいは私の家族を殺さないと言い切れたでしょうか」と、力を込めた。

監禁・暴行被害女性が体験記を執筆

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