(CNN) ウシの筋肉組織の幹細胞から作った人工肉のハンバーガーを調理、試食するデモンストレーションが5日、ロンドン市内で開催された。
人工肉はオランダ・マーストリヒト大学のマルク・ポスト氏が開発。幹細胞を培養し、3カ月かけて作った筋肉組織2万本分の人工肉に、パン粉と粉末卵を加えて味を調える。
牛肉らしい色を出すために赤カブの汁とサフランを加え、ひまわり油とバターで焼いた。調理を担当したシェフは、「通常よりわずかに色が薄いようだ」と語った。
142グラムの肉にバンズと野菜を添えた試食セットが2人に提供された。
オーストリア人の食文化研究家ハンニ・ルツレル氏は、ひと口目を注意深く何度もかんでから「もっと柔らかいと思った。あまりジューシーではない。本物の肉に近いが塩こしょうが足りない」と、辛口の感想を述べた。
続いて試食したのは、食の将来をテーマとする文筆家で米シカゴ在住のジョシュ・ションウォルド氏。「慣れ親しんだ肉の舌触りだが、味が違う。脂肪がない」と語った。
ポスト氏は会場に集まった報道陣や来賓約200人を前に、「人工肉が架空のアイデアではないことが証明できた。しかし生産効率やコストといった課題は残る」と説明した。
作製にかかった約3300万円の費用は、匿名の資金提供者からの援助などでまかなった。4年間に及んだ研究の中で、何度か自分でも味見をしたという。「私の子どもに食べさせることにもまったく抵抗はない」と断言する。
同氏らのチームは、10~20年後までに人工肉をスーパーの店頭に並べ、食料問題への対策などに貢献したい考えだ。肉の中に脂身をどうやって混ぜ込むかが、次の課題だという。
世界初、「人工肉バーガー」をお披露目