ハメネイ師が公の場に、イスラエルとの衝突後初めて
(CNN) 国営プレステレビによると、イランの最高指導者ハメネイ師は5日、宗教関係の集まりに参加した。ハメネイ師が公の場に姿を現すのは数週間ぶり。
イスラエルが先月13日にイランの軍事施設や核施設を一方的に爆撃し、軍事衝突に突入して以降、ハメネイ師は公の場に姿を見せていなかった。今回の衝突では米国も後から参戦し、イランの主要核施設3カ所を爆撃。その後、トランプ大統領が停戦を宣言した。
プレステレビがX(旧ツイッター)に投稿した映像には、預言者ムハンマドの孫フセインの死を追悼するイスラム教シーア派の宗教行事「アシュラ」を翌日に控えた夜、ハメネイ師が黒衣をまとった礼拝者に手を振る様子が映っている。群衆は歓呼で応えた。
数週間の潜伏
ハメネイ師は中東で最も長期にわたり権力を握る指導者。イスラエルや米国との12日間の衝突の間、外部との通信がほぼ遮断された地下壕(ごう)に潜伏して過ごしたとされる。イスラエルの政治家やトランプ氏は軍事衝突中、ハメネイ政権の打倒と武力による排除に公然と言及していた。
トランプ氏はハメネイ師殺害を狙うイスラエルの計画を退けたと報じられているが、その後の6月下旬、ハメネイ師を「簡単な標的」と評した。イスラエルのネタニヤフ首相もハメネイ師を標的にする可能性を否定せず、ハメネイ師の死は「衝突をエスカレートさせるのではなく」、むしろ「終止符を打つ」ものだとの認識を示していた。
停戦開始の数日後、非公表の場所から声明を投稿したハメネイ師は強気の姿勢を示し、イスラエル、米国の両国に対する勝利を宣言。ハメネイ師はこの中で、空爆を命じる前にイランの「無条件降伏」を要求していたトランプ氏への直接の反論に時間を割いた。
ただ、複数の専門家は先月のCNNの取材に対し、イスラエルや米国との衝突の結果、イラン国内ではハメネイ師の評判に傷が付いた可能性が高いとの見方を示した。イスラエルの最初の攻撃は前例のない深度で実施され、攻撃初日にイランの軍事指導者の一部を殺害した。
シンクタンク「国際危機グループ」のイラン・プロジェクト責任者、アリ・バエス氏は「イスラム共和国は社会との間にひとつの社会契約を結んでいた。国民のあらゆる自由を奪う代わりに、安全を提供するというものだ」と指摘。「そのイメージは今や、イラン国民の眼前で粉々に砕け散った」との見方を示した。