メキシコ大統領、トランプ氏の主張を否定 米国との国境閉鎖に合意せず
(CNN) メキシコのシェインバウム大統領は28日の定例会見で、トランプ次期米大統領に対して米国との国境の閉鎖を提案したとの見方を否定した。トランプ氏が自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で主張した内容を打ち消した形だ。
会見でシェインバウム氏は、メキシコの方から国境の閉鎖を提案するつもりはないと明言。「それは決して我が国のやり方ではないし、当然ながら合意もしない」と述べた。
これに先駆け、トランプ氏は27日、シェインバウム氏との間で「前向きな話し合い」を行ったと明らかにしていた。両氏はトランプ氏がメキシコへの追加関税を発表して以降初となる電話会談を行った。トランプ氏はメキシコとカナダからの輸入品全てに25%の関税をかけると表明している。同氏の主張によればこれは不法移民や犯罪、薬物が両国から米国に流入することへの報復措置。
トゥルース・ソーシャルへの投稿で、トランプ氏はシェインバウム氏が事実上の国境閉鎖に合意したと述べた。また大量の薬物が米国に流れ込む状況ならびに米国におけるそれらの摂取に歯止めをかける方法についても同氏と話し合ったとした。
しかし会談に関する声明でシェインバウム氏は、メキシコの移民戦略をトランプ氏と協議したとしつつ、「自国の立場は国境の閉鎖ではない」と強調した。
シェインバウム氏が以前指摘したところによれば、メキシコはバイデン政権と協力して国内を通過する移民の問題に取り組み、過去1年間で米国への入境を75%削減したという。
27日のトランプ氏との電話会談の後、シェインバウム氏は追加関税を避けるための新たな施策の計画を一切明らかにせず、自国がどれだけの危機対応を既に行っているのかに焦点を当てた。
トランプ氏とシェインバウム氏の認識の違いが今後どのような結果をもたらすのかは現時点で判然としない。しかし政権1期目でも、トランプ氏が口にするメキシコへの対処にまつわる大げさな言説は、必ずしも現場の実態と一致するものではなかった。