容赦ないロシアの「肉弾攻撃」、数で劣るウクライナ軍をすり減らす

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任務の合間に地下壕でくつろぐ、155ミリ榴弾砲の射手ら/Daria Tarasova-Markina/CNN

任務の合間に地下壕でくつろぐ、155ミリ榴弾砲の射手ら/Daria Tarasova-Markina/CNN

水があふれるコップ

それでもロシアの攻撃は続く。特殊軍の狙撃兵「ベス」いわく、アウジーイウカをキープできるかどうかは数次第だという。

「1リットルのボトルに1.5リットルの水を入れるのは不可能だ」とベスは語った。

数字の上でまさるロシアと対等に戦うために、ウクライナ上層部は軍将校からの圧力で、兵士増強として50万人の追加動員を検討している。

前線から遠く離れたウクライナ各都市での生活は、戦闘の影響とほぼ無縁に思える。少なくとも表面的にはそうだ。高速道路沿いには志願兵を募るポスターや検問所が点在し、軍服姿の兵士の姿がそこかしこに見受けられるものの、戦時統制の顕著な兆候や日常生活への変化はほとんど見られない。スーパーに行けば商品が豊富にそろい、カフェは客でいっぱいだ。

だが、徴兵はデリケートな話題だ。

ウクライナ大統領は追加動員を行使する権限を与えられている。現在は27歳以上が徴集対象となっているが、大統領はあえて議会の承認を得る形を取った。現在、法案は議会でじっくりと――難航しながら――協議にかけられている。

ゼレンスキー大統領は徴集兵の給与の支払い方法についても疑問視し、兵士1人分を納税者6人で賄わなくてはならないと発言した。

大統領が二の足を踏んでいることは、敵国がキーウ攻撃の意志をあからさまにしているにもかかわらず、ウクライナの世論にも政治的ニュアンスの違いが見られることを物語っている。

「ウクライナ国家の存在はウクライナ人にとって致命的だ」。ロシア安全保障会議の副議長を務め、タカ派政治家の筆頭でもあるドミトリ・メドベージェフ氏は、今月17日テレグラムにこう投稿した。

その上で「なぜかというと、歴史的にロシア領土だった地域に独立国家が存在すれば、戦闘行為の継続を招く理由が絶えず存在することになるからだ」と続けた。

一方前線では、CNNが取材した部隊の士気は依然として高かった。

疲弊してはいるものの、兵士が愚痴を吐くことはめったになかった。追加動員により、願ってもない前線での任務交替が増えるだろうと期待していた。

だがアウジーイウカでの戦闘が激しさを増す中、それも遠い先の話だ。

「セイヤー」と名乗るオメガ特殊軍の将校は、「前線を維持するために、自分たちは可能なことも不可能なこともすべてやっている」とCNNに語った。

「この後どうなるのかは分からない。だがアウジーイウカは持ちこたえている。我々は母国の土を踏んでいる。失うものは何もない」

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