ロシア外務省、NATOはザポリージャ原発について「議論を」

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カホウカ貯水池の土手から見たザポリージャ原発。ノバカホウカのダム決壊後に撮影=6月16日/Alina Smutko/Reuters

カホウカ貯水池の土手から見たザポリージャ原発。ノバカホウカのダム決壊後に撮影=6月16日/Alina Smutko/Reuters

(CNN) ロシア外務省のザハロワ報道官は9日、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の指導者は、週内に開催されるNATO首脳会議で、ウクライナ中南部のザポリージャ原発について議論すべきだと述べた。NATO加盟国の大半が直接影響を受ける範囲に入っているためとしている。

ザハロワ報道官は、273日前にロシア軍の兵站(へいたん)を破壊するためクリミア橋に最初の攻撃を行ったというウクライナのマリャル国防次官のSNSへの投稿を引用し、ウクライナはテロリストを支援する政権だと述べた。

その上で、ウクライナが「ザポリージャ原発への組織的な損害という『自己救済』計画に乗り出している」とも述べ、NATO首脳会議が議題として取り上げるべきだと主張。NATO加盟国の「大多数」が直接影響を受けるとの見方を示した。

同原発を巡っては、ウクライナのゼレンスキー大統領が先週、ロシア軍がザポリージャ原発の屋根に「爆発物のようなもの」を設置し、「おそらく原発への攻撃を模倣しようとしている」と主張したことで、警戒が広がっていた。

ザポリージャ原発は昨年3月以降、ロシア軍の支配下にある。元々のウクライナ人スタッフによって運営が続いているが、当初はロシア軍に「銃口」を突きつけられる形での勤務だったとも伝えられている。

ロシアのプーチン大統領は侵攻開始以降、核の恐怖をちらつかせてきた。ただ、今回のゼレンスキー氏の発言で、プーチン氏が核弾頭の発射ではなく、ザポリージャ原発自体を武器に変えることで核事案を引き起こす可能性があるとの見方が浮上している。

ただ、ザポリージャ原発が及ぼす影響範囲については、ザハロワ氏の主張には誤りがあるとみられる。同原発の原子炉は国際原子力機関(IAEA)が介入する形で「冷温停止状態」に置かれており、大規模な核災害の可能性は限られている。

英シンクタンク「国際戦略研究所」の専門家、ウィリアム・アルバーク氏は、報じられた設置物が爆発した場合、1986年のチェルノブイリ原発事故後のような破壊は再現されないだろうと予測。原発周辺地域は今後40年間がんになる確率が高まる放射線ゾーンになる恐れがある一方、NATO加盟国の「大半」が影響を受けるような状況にはならないとの見方を示した。

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