日本の厳しい銃規制法、銃撃事件はまれ
(CNN) 銃犯罪率が世界でも最も低い国の一つである日本で、安倍晋三元首相の銃撃事件は大きな衝撃を与えた。銃犯罪率が低いのは銃所持を厳しく制限する法律があるためだ。
岸田文雄首相によると、安倍氏は8日午前、奈良で選挙演説中に撃たれ、深刻な状況で救急措置を受けていたが、その後死亡した。
銃暴力事件は日本では極めてまれだ。
シドニー大学公共衛生大学院の集計データによると、2018年時点で、人口1億2500万人の日本で銃器による死亡は9人のみだった。同年に米国では3万9740人が銃で亡くなっている。
国際安全保障産業協会のディレクター、ナンシー・スノー氏は、今回の事件は日本を永続的に変えてしまうだろうと語る。
「これはまれなだけでなく、本当に文化的に理解不能なものだ」「日本の人々には我々の米国のような銃文化を持つということは想像できない。今回は言葉を失う瞬間となった。私も本当に言葉を失う」(スノー氏)
NHKが警察の話として伝えたところによると、事件の容疑者は地元の40代の男で、手製の銃を使用した。
日本の銃規制法では、販売が許可されているのは猟銃と空気銃のみで、拳銃は違法だ。しかも、入手の手続きは長く複雑なもので、努力と忍耐を必要とする。
銃所持の許可を得るには、1日かかる講習、筆記試験、射撃教習を受ける必要がある。精神面の評価、薬物検査、厳格なバックグラウンドの検査も行われ、犯罪歴、個人負債、組織犯罪への関与、家族や友人との関係なども審査の対象となる。
銃を入手した後も、所有者は銃器を警察に登録し、銃と銃弾の保管場所を届け出る必要がある。銃と銃弾は別々の施錠された区画に保管される。毎年警察による銃器の検査を受け、免許を更新するには3年に一度再講習と試験を受けなければならない。
こうした規制により、日本での民間人の銃所有者は極めて少ない。17年時点で、人口1億2500万人に対して銃は推計37万7000丁(100人当たり0.25丁)しかない。スイス・ジュネーブの国際・開発研究大学院の独立調査プロジェクト「小火器研究」によると、米国では人口100人当たり約120丁の銃がある。
今回の事件以前、日本での公人を狙った銃撃事件は07年の伊藤一長・長崎市長が最後だったとみられる。伊藤市長は暴力団関係者とされる人物に背後から至近距離で撃たれ、その後死亡した。
それ以降、日本では銃規制を強化し、組織的犯罪集団の構成員による銃犯罪の厳罰化を図った。
改正後には、組織的な銃器所持があった場合最高で15年の懲役が科される。2丁以上の銃器所持も犯罪で15年以下の懲役、公共の場で発砲した場合は無期懲役になる可能性がある。