作物の種まき終えた農地は25%減、侵攻の影響 ウクライナ

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オデーサの小麦畑で、農業機械を駆使して作業する農業従事者/Metin Aktas/Anadolu Agency/Getty Images

オデーサの小麦畑で、農業機械を駆使して作業する農業従事者/Metin Aktas/Anadolu Agency/Getty Images

(CNN) ロシアの侵攻を受けた農業大国でもあるウクライナで作物の種まき作業を終えた農地は昨年と比べ約25%減少したことが23日までにわかった。農政当局者などが明らかにした。

これによると、これまで様々な農作物の種まきを完了した農地は1350万ヘクタールで、昨年の規模の80%に相当。激しい攻防戦が続く東部のルハンスク、ドネツク両州では明らかに作業が不可能で、首都キーウ(キエフ)、チェルニヒウやスーミの各州の一部でも難しい状況にあったとした。

ウクライナ南部の豊穣(ほうじょう)な農地はロシアの支配下にある。これら農地はウクライナが産する野菜の多くを手掛けているという。

別の農政当局者によると、春にまく小麦は今年、例年以上の水準に達する一方で、トウモロコシやヒマワリは激減した。

穀物の収穫高については約4800万トンから約5000万トンの間になると予想。8500万で推移してきた以前の年より少なくなるとした。

一方、米宇宙関連企業「マクサー・テクノロジーズ」はウクライナの農地の衛星画像を調べ、農家が今年春に種まきをした農地の面積は30%少なかったと結論づけた。トウモロコシの今年の収穫量は54%落ち込み、ヒマワリの生産は昨年の生育期と比べ40%減になるとも見通した。

ウクライナ内の戦闘で港湾や農村地帯にある穀物の貯蔵庫は多数が破壊された。これら貯蔵庫にある穀物の約1000万トンをロシアが押さえ、ほかの貯蔵庫はミサイル攻撃や砲撃で破損などしたとされる。今年5月には多数の関係筋がCNNの取材に、ロシア軍は占領地で農機具や農家から数千トン規模の穀物を盗んだとも明らかにしていた。

一部のウクライナ政府当局者によると、貯蔵に障害が生じたため農家は作物転換にも踏み切っている。ただ、燃料不足は作物の取り入れを阻む恐れがあり、農家は資金繰りに困っているとの指摘もある。融資の利子は最大35%まで高くなったという。

ウクライナによる穀物や油脂含量の多い種子の作物の輸出はロシアがオデーサなど黒海沿岸の港湾を封じ込んでいるため制限されている。ウクライナの農政当局者によると、侵攻開始以降に輸出出来た穀物などは400万トンとした。侵攻前の予想では500万から600万トンまでとなっていた。

陸路や鉄路を通じた代替の輸出経路も設けられたが、黒海を通じての海路と比べ作業などがより煩雑になっているという。

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