ウクライナ軍が奪還のイルピン、がれきと化した街が物語る惨状
(CNN) 粉塵(ふんじん)にまみれた姿で縁石に取り残された子どもの人形。持ち主の子どもの姿はどこにも見えない。周辺の住宅にも人影はない。住宅はロシア軍の砲弾に直撃され、粉々になっていた。
戦争で引き裂かれたウクライナ首都キエフ郊外のイルピン。ウクライナ軍がロシア軍から奪還した数日後の姿だった。
同地は今も極めて危険が大きく、民間人の立ち入りは禁止されている。近郊のブチャやホストメリでは戦闘が続いており、イルピンはまだ、ロシア軍の砲弾が届く範囲内にある。
CNNは3月31日、ウクライナ軍からイルピン立ち入りを許可された。
取材班は森林の中の未舗装路を猛スピードで抜け、イルピンを目指した。
「この道が一番安全だ」と車を運転してくれたウクライナ兵のアンドリーさんは言う。「ロシアの砲撃を避けるにはこの道が一番いい」
イルピン川の向こうは、1カ月にわたって続いたロシア軍とウクライナ軍の戦闘で、何もかも破壊されていた。割れていない窓はほとんどない。至る所で樹木が倒れ、壊れたり捨てられたりした軍の装備品が散乱する。ほとんどはロシア軍のものだった。