「ISISの花嫁」に禁錮10年、ヤジディ教徒の女児死亡で 独
(CNN) ドイツ南部ミュンヘンの上級地方裁判所は25日、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に加入した被告の女に対し、禁錮10年の刑を言い渡した。クルド系少数宗派ヤジディ教徒の5歳の女児の死亡に関与したとされる。
ジェニファー・Wとのみ氏名が明かされたこのドイツ国籍の被告は、人道に対する罪で有罪となった。外国のテロ組織の一員になったことに加え、「他人を奴隷の状態に置き、結果として死に至らしめた」ことが罪に当たるという。裁判所の報道官がCNNに説明した。
被告はISISの戦闘員の夫とイラクで暮らしていた2015年、ヤジディ教徒の女性とその5歳の娘を奴隷として購入した。
裁判所の報道官によると、夫はこの母子を「日常的に虐待」していた。現在、夫もフランクフルトで別の裁判を受けているという。
虐待は頭を殴ったり床に押し付けたりするもので、そのあまりの強さから女児は肩を負傷していた。
さらに夫は女児を縛って、炎天下の庭に放置。被告は女児が死んでしまうと夫に告げたものの、自分で女児を助けようとはしなかったという。
女児の母親は重要な証人として裁判に参加。判決が言い渡される時も法廷にいた。声明によれば「判決を聞くのはとてもつらかった。あらゆる思い出がよみがえってくる。6年たってドイツの裁判所が被告に対し、娘を死なせた責任があると確定してくれたことは喜ばしい。それでもどんな判決が出ようと、娘は帰ってこない」と語ったという。
母親の弁護士らは、ISISの構成員がヤジディ教徒に対する国際犯罪で裁かれたのは今回の被告が初めてだとみている。
裁判は77日にわたって続いた。被告は罪状を認めておらず、被告の弁護士らは1週間以内であれば上訴の申し立てができる。