黄色いベスト運動11週目、中心人物が右目に重傷 鎮圧用のゴム弾直撃か
パリ(CNN) フランスのマクロン政権に抗議する毎週末の大規模デモで中心的な役割を果たしていた男性が、デモ参加中に右目を負傷する大けがをしていたことが28日までに分かった。警官隊の使用する「フラッシュボール」と呼ばれる銃から発射されたゴム弾が直撃した可能性があるという。
この大規模デモは、参加者が路上作業用の安全ベストを着用することから「黄色いベスト」運動と呼ばれる。11週目に突入した先週末の26日、運動の中心人物として知られるジェローム・ロドリーグさんはパリのバスティーユ広場でデモに参加していたところ、警官隊がこちらに向けて発射したとみられる物体で右目を負傷した。
27日に仏メディアのインタビューに答えたロドリーグさんは、当時の状況について、別の抗議団体と警官隊との小競り合いが激しくなったので黄色いベストの参加者らを広場から立ち去らせようとしていたと説明。ロドリーグさんの弁護士はCNN系列局BFMの取材に対し、ロドリーグさんを傷つけたのは警官隊の使用するフラッシュボールだったとの見解を示した。
フラッシュボールは硬質のゴム弾を装填(そうてん)する44口径の銃で、メーカーによると「殺傷力はなし」。さまざまな使い方ができる有効な武器だとされるが、撃たれた側が重傷を負うケースもあり、警官による使用を疑問視する声も出ている。
ロドリーグさんが負傷した場面は動画撮影されており、フェイスブック上の公開ページの再生回数は196万回を超えている。平和主義者を自認するロドリーグさんは右目がはれ上がった自らの顔写真も公開し、「失明するだろう」との文言を添えた。
報道によればロドリーグさん側はフラッシュボールによる負傷であることを示す証拠があるとして、警察に告訴する構えを見せている。ロドリーグさん本人はBFMのインタビューに答え、デモの中心人物である自分が「故意に標的にされた」と主張した。
一連の大規模デモではこれまで10人が死亡。ほとんどは昨年11~12月に行われた道路封鎖に関連する交通事故が死因となっている。