午後8時からの会議、絶え間ないメッセージ 「終わりのない就業日」へようこそ

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新たな調査では、平均的な従業員は会議やメール、通知などで2分ごとに作業が中断されることがわかった/Phil Barker/Future Publishing/Getty Images

新たな調査では、平均的な従業員は会議やメール、通知などで2分ごとに作業が中断されることがわかった/Phil Barker/Future Publishing/Getty Images

ロンドン(CNN) 米IT大手マイクロソフトの調査によれば、労働者は午後8時以降に予定される会議の増加や、ほぼ絶え間ない中断を伴う「一見すると終わりのない就業日」への対処に苦労している。

マイクロソフトは1月中旬から2月中旬にかけて、メールツール「Outlook」や発表ツール「PowerPoint」を含むクラウドサービス「マイクロソフト365」の全世界の利用者から得たデータを分析した。その結果、午後8時から深夜直前までの会議の予約数が前年比で16%増加したことがわかった。この増加の大部分は地理的に分散したチームや、柔軟な勤務形態のチームによるものだった。

マイクロソフトは報告書で「終わりのない仕事の日は早朝、主にメールで始まり、すぐに集中力を奪うメッセージや会議、中断の洪水に膨れ上がる」と指摘した。

マイクロソフトの調査によれば、平均的な従業員は標準的な8時間勤務の間に会議や電子メール、チャット通知によって2分ごとに作業を分断されており、その回数は1日あたり275回に上る。

そして、こうしたメッセージは退勤後もとまらない。調査期間中、従業員はコアタイム以外に平均58件のメッセージを送受信しており、これは前年より15%増加している。

典型的な従業員は1日あたり117通のメールを受信するほか、午後10時までに従業員のほぼ3分の1が受信トレイに戻り「勤務時間外の活動が着実に増加していることを示している」という。

報告書は「現代の多くの人にとって、仕事には明確な始まりも終わりもない」と指摘。「業務の要求が複雑化し、期待が高まり続けるなか、かつては集中や回復のために確保されていた時間が、今では遅れを取り戻したり、準備をしたり、明確さを追い求めたりするのに費やされているのかもしれない」

ついていくのは不可能

マイクロソフトが委託し、世界の従業員3万1000人を対象に行った調査によれば、そうした結果の一つとして、従業員の3分の1が過去5年間の仕事のペースに「ついていくのは不可能」だと感じている。

「一つ一つのメールやメッセージは小さいように思えるかもしれないが、それらが合わさることで、これからの1日のテンポを狂わせる可能性がある」

会議の半分が午前9時から午前11時と、午後1時から午後3時の間に行われていることも判明した。「調査によれば、多くの人が概日リズムによって1日のなかで自然に生産性が上昇する時間帯だ」

マイクロソフトによれば、結局のところ、会議に飢えた上司や同僚が従業員の生産性を低下させ、時間に追われる従業員の中には週末に後れを取り戻さざるを得ない人もいる。

マイクロソフトによれば、人工知能(AI)は従業員の負担経験に役立つ可能性がある。AIが「価値の低い」管理業務の遂行を支援し、従業員が組織にとって真に有益な業務に時間をさけるようになるとしている。

しかし、AIの台頭は、AIが人間の仕事を奪う可能性に対する不安を増大させている。世界経済フォーラムが発表した調査によれば、AIが特定の仕事を自動化するにつれて、雇用主の41%が人員削減を検討している。

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